個人事業主必見!消費税の免除2年を徹底解説!メリット・デメリット、手続き方法まで

個人事業主にとって消費税の免除は大きなメリットですが、制度を正しく理解していないと、後々思わぬトラブルに発展する可能性もあります。

開業したばかりで消費税についてよく分からない方や、免除期間がそろそろ終わるという方は必見です。

この記事では、消費税の免除制度について、免税事業者と課税事業者の違い、2年間の免除期間、免除を受けるための条件、メリット・デメリット、手続き方法などを分かりやすく解説します。

さらに、よくある質問や免除期間終了後の準備についても触れているので、消費税に関する疑問を解消し、安心して事業に専念できるようになります。

この記事を読み終える頃には、消費税の免除制度を理解し、適切な対応ができるようになるでしょう。

消費税の免除制度とは?個人事業主が知っておくべき基礎知識

個人事業主にとって、消費税は事業運営上重要な要素です。

特に開業当初は資金繰りが厳しい時期でもあるため、消費税の免除制度は大きな助けとなります。

この章では、消費税の免除制度の基礎知識について解説します。

消費税の免税事業者と課税事業者の違い

消費税の取り扱いにおいて、事業者は「免税事業者」と「課税事業者」に分けられます。

それぞれの特徴を理解しておきましょう。

区分免税事業者課税事業者
消費税の徴収顧客から消費税を徴収しない顧客から消費税を徴収する
消費税の納付消費税を納付しない消費税を納付する
仕入税額控除仕入税額控除を受けられない仕入税額控除を受けられる

免税事業者は、顧客から消費税を徴収せず、納税義務もありません。

その反面、仕入時に支払った消費税(仕入税額控除)も受けられません。

一方、課税事業者は、顧客から消費税を徴収し、それを納税する義務があります。
ただし、仕入税額控除を受けることができるため、実際に納付する消費税額は、売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を差し引いた金額となります。

2年間の免除期間について 消費税 免除2年

一定の条件を満たす個人事業主は、開業から2年間(もしくは特定期間)、消費税が免除される制度があります。
これを「消費税の免除制度」といいます。この制度を利用することで、開業当初の資金繰りの負担を軽減し、事業の安定化を図ることができます。

この2年間は、原則として開業した年から2年間です。
ただし、開業届の提出が遅れた場合などは、免除期間が短くなる可能性があります。 
また、特定期間において売上が1,000万円を超えた場合には、その翌々課税期間から課税事業者となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

個人事業主が消費税を2年間免除されるための条件

個人事業主が消費税を2年間免除されるための条件

個人事業主が消費税の免除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な条件は以下の2点です。

基準期間の売上高が1,000万円以下であること

消費税の免除を受けるための最も重要な条件は、基準期間の売上高が1,000万円以下であることです。

基準期間とは、その事業年度の前々年の1月1日から12月31日までの1年間を指します。

例えば、令和6年(2024年)1月1日〜令和6年12月31日の事業年度の場合、基準期間は令和4年(2022年)1月1日〜令和4年12月31日となります。

開業1年目の場合は、開業からその年の12月31日までの期間が基準期間となります。

2年目の場合は、1年目の1月1日から12月31日までの期間が基準期間となります。

事業年度基準期間
令和6年(2024年)令和4年(2022年)
令和7年(2025年)令和5年(2023年)

売上高には、事業に係るすべての対価が含まれます。

商品販売収入だけでなく、サービス提供料、不動産収入なども含まれます。
ただし、消費税は含まれません

特定期間の売上高が1,000万円を超えた場合の対応

基準期間の売上高が1,000万円以下であっても、特定期間に売上高が1,000万円を超えた場合は、翌々事業年度から課税事業者となります。

特定期間とは、その事業年度の前年の1月1日から12月31日までの1年間を指します。

例えば、令和6年(2024年)1月1日〜令和6年12月31日の事業年度の場合、特定期間は令和5年(2023年)1月1日〜令和5年12月31日となります。

開業2年目の場合は、2年目の1月1日から12月31日までの期間が特定期間となります。

事業年度特定期間
令和6年(2024年)令和5年(2023年)
令和7年(2025年)令和6年(2024年)

特定期間の売上高が1,000万円を超えた場合は、翌々事業年度から消費税の申告と納税が必要になります。

つまり、令和5年の売上高が1,000万円を超えた場合、令和7年1月1日以降の取引から消費税の課税事業者となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

消費税免除のメリット・デメリット 個人事業主 消費税

消費税免除のメリット・デメリット 個人事業主 消費税

消費税の免除には、メリットとデメリットが存在します。

事業の状況に合わせて、どちらが適切か判断する必要があります。

メリット:節税効果による資金繰りの改善

消費税が免除されると、売上にかかる消費税を納付する必要がなくなります。
これは、事業初期の資金繰りが厳しい時期において大きなメリットとなります。

浮いた資金を設備投資や事業拡大、人材育成などに充てることができます。

また、消費税の計算や申告の手間が省けることもメリットです。 

帳簿付けや申告書作成の手間が軽減され、本来の業務に集中できるようになります。

デメリット:取引先への影響や事務手続きの増加

消費税が免除されることで、仕入にかかる消費税(仕入税額控除)を受けられなくなります。
これは、仕入が多い業種にとってはデメリットとなります。

仕入税額控除を受けられないと、実質的なコスト増加につながる可能性があります。

また、取引先によっては、消費税課税事業者との取引を希望する企業も存在します。

消費税免税事業者であることで、取引機会が失われる可能性も考慮しなければなりません。

さらに、消費税の免除を受けるためには、一定の事務手続きが必要となります。

免税事業者であっても、帳簿書類の保存義務はあります。

適切な帳簿付けを行い、書類を保存しておく必要があります。

項目メリットデメリット
資金繰り消費税納税不要による資金確保仕入税額控除を受けられない
事務手続き消費税の計算・申告が不要一定の事務手続き(帳簿保存など)が必要
取引先取引機会の損失の可能性

消費税の免除は、事業にとってメリットとデメリットの両方があります。

事業の特性や規模、将来の展望などを考慮し、総合的に判断することが重要です。

 免税事業者と課税事業者のどちらを選択するべきか迷う場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

消費税免除を受けるための手続き方法

消費税免除を受けるための手続き方法

消費税の免除を受けるための手続きは、開業時と開業後では異なります。

それぞれの手続き方法について詳しく解説します。

開業届出時の選択

個人事業を開業する際に、開業届出書を税務署に提出します。
この開業届出書に、消費税の課税事業者となるか、免税事業者となるかの選択欄があります。

開業時に免税事業者を選択した場合、改めて手続きをする必要はありません。

ただし、将来課税事業者となることを希望する場合には、その旨を届出書に記載する必要があります。
これは「将来課税事業者選択届出書」と呼ばれます。

将来課税事業者を選択した場合、開業から2年間は免税事業者として扱われますが、2年後には自動的に課税事業者となります。

消費税課税事業者選択届出書の提出

開業時に免税事業者を選択した場合でも、事業年度中に特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。

特定期間とは、その事業年度の開始の日からその日以前6か月間の期間を指します。

例えば、1月1日~12月31日の事業年度において、7月1日に特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。

この届出書は、課税売上高が1,000万円を超えた月の翌月15日までに提出する必要があります。

例えば、7月に課税売上高が1,000万円を超えた場合、8月15日までに提出する必要があります。

手続き提出書類提出期限
開業時開業届出書(免税事業者を選択)
または
開業届出書(将来課税事業者を選択)
開業日から1か月以内
開業後消費税課税事業者選択届出書課税売上高が1,000万円を超えた月の翌月15日まで

消費税課税事業者選択届出書を提出した場合、その事業年度の開始の日から課税事業者となります。 

例えば、7月に課税売上高が1,000万円を超え、8月に届出書を提出した場合、その事業年度の開始日である1月1日から課税事業者として扱われます。

これらの手続きを適切に行うことで、消費税の免除を正しく受けることができます。

不明な点があれば、税務署に相談することをお勧めします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

消費税の免除に関するよくある質問 FAQ

消費税の免除に関するよくある質問 FAQ

ここでは、消費税の免除に関するよくある質問と回答をまとめました。

免除期間中に売上高が1,000万円を超えたらどうなる?

2年間の免除期間中に売上高が1,000万円を超えた場合は、その翌々年から課税事業者となります。
例えば、令和6年1月~12月の売上高が1,000万円を超えた場合、令和8年1月1日から課税事業者となります。

免除期間終了後の手続きは?

免除期間が終了し、基準期間の売上高が1,000万円を超えている場合は、その翌年から課税事業者となります。
その場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要はありません
ただし、課税事業者としての消費税の申告が必要となります。

免除期間が終了しても、基準期間の売上高が1,000万円以下の場合は、引き続き免税事業者となります。
改めて手続きをする必要はありません

消費税の申告はどうすればいい?

免税事業者の場合は、消費税の申告は不要です。
ただし、帳簿書類は保存する義務がありますので、適切に管理しましょう。

課税事業者となった場合は、所轄の税務署に消費税の申告書を提出する必要があります。
申告書の提出期限や提出方法は、国税庁のウェブサイトなどを参照してください。

特定期間の売上高が1,000万円を超えた場合の消費税の納税義務

2年間の免除期間中に特定期間(年の途中で開業した場合などは、その年の1月1日から開業日までと開業日の翌日から12月31日まで)の売上高が1,000万円を超えた場合、その特定期間が属する年の翌々年の1月1日から課税事業者になります。
この場合、免除期間であっても、課税事業者になった年の前々年の特定期間の売上高に対応する消費税を納める必要があります。

ケース 免除期間 特定期間の売上高 課税事業者開始時期 消費税納税義務
ケース1 令和6年1月~令和7年12月 令和6年1月~12月で1,000万円超 令和8年1月1日 令和6年分の消費税納税義務あり
ケース2 令和6年1月~令和7年12月 令和7年1月~12月で1,000万円超 令和9年1月1日 令和7年分の消費税納税義務あり
ケース3 令和6年7月~令和8年6月 令和6年7月~12月で1,000万円超 令和8年1月1日 令和6年7月~12月分の消費税納税義務あり

消費税の免除制度は複雑な面もあるため、不明点があれば税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

免除期間終了後、消費税の課税事業者になるための準備

免除期間終了後、消費税の課税事業者になるための準備

消費税の免除期間が終了すると、原則として課税事業者となります。

スムーズな移行のため、事前に準備を整えておくことが重要です。

慌てずに対応できるよう、以下の点に注意しましょう。

課税事業者としての事務手続きの準備

課税事業者になると、免税事業者の時よりも事務処理が増えます。

具体的には、請求書や領収書に消費税額を記載する必要があり、帳簿の記載項目も増えます。
また、消費税の申告と納付が必要になります。

これらの事務手続きに対応できるよう、会計ソフトの導入や税理士への相談を検討しましょう。
特に、クラウド会計ソフトは自動で消費税計算をしてくれたり、申告書類の作成をサポートしてくれたりするなど、便利な機能が備わっているためおすすめです。

freeeや弥生会計などが代表的なクラウド会計ソフトです。

価格設定の見直し

課税事業者になると、商品やサービスの価格に消費税を加算する必要があります。
そのため、価格設定を見直す必要があるかもしれません。

消費税分を価格に転嫁するか、それとも自己負担するかを検討し、適切な価格設定を行いましょう。

値上げをする場合は、顧客への丁寧な説明が重要です。

顧客との良好な関係を維持するためにも、事前に値上げの理由や時期などを明確に伝えましょう。

取引先への周知

課税事業者になる際には、取引先にその旨を事前に周知しておくことが大切です。
特に、請求書の発行方法や消費税の処理方法について、取引先と認識を合わせておく必要があります。

周知のタイミングは、免除期間終了の3ヶ月前程度が目安です。

余裕を持って連絡することで、取引先もスムーズに対応できます。

消費税の納税資金の準備

課税事業者になると、消費税を納付する必要があります。

消費税は、預かった消費税から、仕入にかかった消費税を差し引いて計算されます。
この差額分を納税資金として準備しておく必要があります。

事業用の口座とは別に、消費税専用の口座を設けておくと、納税資金を管理しやすくなります。

必要書類の保管

課税事業者になると、帳簿や請求書、領収書などの書類を7年間保管する義務があります。
これらの書類は、税務調査の際に必要となるため、大切に保管しましょう。

紛失や破損を防ぐため、ファイリングシステムを構築したり、クラウドストレージサービスを利用したりするのがおすすめです。

DropboxやGoogleドライブなどのクラウドストレージサービスを利用すれば、データのバックアップも容易に行えます。

税務調査への対応

課税事業者になると、税務調査を受ける可能性があります。

税務調査では、帳簿や請求書、領収書などの書類に基づいて、申告内容が正しいかどうかが確認されます。

税務調査にスムーズに対応できるよう、日頃から正しい帳簿作成と書類の保管を心がけましょう。

税務調査に不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
準備項目具体的な内容対応時期
事務手続きの準備会計ソフト導入、税理士への相談免除期間終了の6ヶ月前〜
価格設定の見直し消費税の転嫁/自己負担の検討免除期間終了の3ヶ月前〜
取引先への周知請求書発行方法、消費税処理方法の確認免除期間終了の3ヶ月前〜
納税資金の準備消費税専用口座の開設事業開始時〜
必要書類の保管ファイリングシステム構築、クラウドストレージ利用事業開始時〜

これらの準備をしっかりと行うことで、免除期間終了後もスムーズに事業を継続し、安定した経営基盤を築くことができます。

消費税の免除期間は、将来の事業成長に向けた準備期間と捉え、有効に活用しましょう。

まとめ

この記事では、個人事業主にとって重要な消費税の2年間の免除制度について解説しました。

免税事業者と課税事業者の違い、免除を受けるための条件、メリット・デメリット、手続き方法などを詳しく説明しました。
特に、基準期間の売上高が1,000万円以下であることが免除の条件となる点、メリットとして節税効果がある一方、取引先への影響や事務手続きの増加といったデメリットも存在する点に注意が必要です。

免除を受けるためには、開業届出時または消費税課税事業者選択届出書により手続きを行います。

免除期間終了後には課税事業者となる準備が必要となるため、事前に計画的に準備を進めることが重要です。

この記事が、個人事業主の皆様の消費税に関する理解の一助となれば幸いです。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
NO IMAGE