【起業家必見】賃貸で法人登記するメリット・デメリット!審査に通りやすい物件の探し方

これから起業するにあたり、「今住んでいる賃貸物件で法人登記はできるのだろうか?」と悩んでいませんか。

結論から言うと、大家さんや管理会社の許可があれば、賃貸物件での法人登記は可能です。

この記事を読めば、自宅兼事務所にすることで初期費用を抑えられるメリットから、契約時に注意すべきデメリット、そして審査に通りやすい「事務所可」「SOHO可」物件の探し方のコツまで、すべてが分かります。

登記が難しい場合のバーチャルオフィスといった代替案も解説しますので、会社設立をスムーズに進めたい方はぜひご一読ください。

賃貸物件での法人登記はそもそも可能なのか

起業を考えたとき、多くの方が「自宅の賃貸マンションで法人登記はできるのだろうか?」という疑問を抱きます。

結論から言うと、賃貸物件を会社の住所として法人登記すること自体は法律上可能です。
しかし、法律的に可能であることと、賃貸借契約上認められるかどうかは全く別の問題です。

ほとんどの賃貸物件は「居住用」として貸し出されており、契約書で事業目的での利用が禁止されているケースが一般的です。
そのため、大家さんや管理会社に無断で法人登記を行うと、契約違反とみなされ、最悪の場合、退去を求められるリスクがあります。

まずは、賃貸物件での法人登記がなぜ難しいのか、その理由から詳しく見ていきましょう。

一般的な賃貸物件では難しい理由

一般的な「居住用」の賃貸物件で法人登記や事業運営が敬遠されるのには、大家さん側の視点に立った明確な理由が存在します。

主に以下の点が挙げられます。

  • 賃貸借契約の違反
    最も大きな理由が、賃貸借契約書に記載された「使用目的」の違反です。多くの契約書には「本物件を居住の用に供するものとし、他の用途に使用してはならない」といった条項が含まれています。法人登記はこの「他の用途」に該当する可能性が非常に高く、無断で行うことは明確な契約違反となります。
  • 不特定多数の出入りによるセキュリティ低下
    法人登記をすると、取引先や顧客、営業担当者、配達業者など、不特定多数の人が建物に出入りする可能性が高まります。オートロック付きのマンションなどでは、他の居住者のプライバシーやセキュリティが脅かされる原因となり、トラブルに発展しやすいため、大家さんは事業利用を嫌がる傾向にあります。
  • 騒音や建物の損耗リスク
    事業内容によっては、日中の電話応対やオンライン会議の声、機材の稼働音などが騒音問題につながることがあります。また、オフィス家具や機材の搬入・搬出によって、エレベーターや廊下などの共用部分、室内の壁や床が傷つくリスクも高まります。建物の資産価値を維持したい大家さんにとって、これは大きな懸念材料です。
  • 税務上の問題
    物件が「事業用」として使用されていると、大家さん側で固定資産税や消費税の取り扱いが変わる場合があります。居住用として貸し出している前提での税務申告と齟齬が生じることを避けるため、事業利用を許可しないケースも少なくありません。

これらの理由から、一般的な賃貸物件で法人登記の許可を得るのは簡単ではないのが実情です。

必ず事前に大家さんや管理会社に相談し、許可を得る必要があります。

法人登記を許可している物件の種類

一方で、起業家のニーズに応える形で、法人登記や事業利用を前提とした賃貸物件も存在します。

主に以下のような種類があり、それぞれ特徴が異なります。

物件の種類特徴向いている業種・規模
事務所可物件事業所としての利用が明確に許可されている物件。住居兼事務所として使えるタイプと、事務所専用のタイプがある。看板設置や内装変更の自由度が高い場合もある。コンサルタント、デザイナー、士業、小規模なIT企業など、来客が比較的少ない業種から、従業員を数名雇用する規模の事業まで幅広く対応。
SOHO可物件「Small Office/Home Office」の略で、自宅兼事務所としての利用が想定されている。住居としての利用がメインで、事業は小規模であることが前提。不特定多数の来客がないことが条件の場合が多い。Webライター、プログラマー、イラストレーターなど、基本的に一人で完結し、来客がほとんどないフリーランスや個人事業主からの法人成り。
店舗可物件店舗としての営業が許可されている物件で、主に路面店や商業ビルの一角など。業種によっては事務所としての利用も可能な場合がある。不特定多数の出入りが前提となっている。物販、サロン、クリニックなど、顧客が直接訪れる業種。ただし、事務所として利用する場合は割高になる可能性がある。

これらの物件は、最初から事業利用が想定されているため、大家さんや管理会社との交渉がスムーズに進みやすいのが最大のメリットです。

起業を計画している場合は、物件探しの段階からこれらのキーワードを意識して探すことが成功への近道となります。

賃貸で法人登記を行う5つのメリット

賃貸物件を本店所在地として法人登記することには、特にスタートアップ期の起業家にとって多くのメリットが存在します。

コスト削減から事業の効率化、社会的信用の獲得まで、事業を軌道に乗せるための大きな助けとなるでしょう。

ここでは、具体的な5つのメリットを詳しく解説します。

自宅兼事務所なら初期費用を大幅に削減

起業時に最も大きなハードルとなるのが、事務所開設にかかる初期費用です。

新たにオフィスを賃貸契約する場合、保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前家賃など、家賃の数ヶ月分に相当するまとまった資金が必要になります。

しかし、現在お住まいの賃貸物件で法人登記ができれば、これらの費用は一切かかりません。

新たにオフィスを借りる必要がないため、敷金・礼金・保証金といった高額な初期費用を丸ごとカットできます

浮いた資金を広告宣伝費や商品開発費、運転資金に回すことで、事業の立ち上がりをよりスムーズにすることが可能です。
また、デスクやチェア、インターネット回線といったオフィス設備も、自宅にあるものをそのまま活用できるため、備品購入コストも抑えられます。

通勤時間がなくなり事業に集中できる

自宅を事務所にすることで、毎日の通勤から解放されます。

満員電車に揺られるストレスや、移動にかかる時間がゼロになることのメリットは計り知れません。

例えば、往復で2時間の通勤時間があった場合、その時間を丸ごと事業活動に充てることができます。

捻出できた時間を事業戦略の策定や実務作業、あるいは自己投資や休息に充てられるため、生産性が飛躍的に向上します
特に、創業期はやらなければならないことが山積しており、一分一秒が貴重です。

時間を最大限有効活用できる「職住一体」の環境は、事業を最速で成長させるための強力な武器となるでしょう。

法人名義で家賃を経費計上できる

賃貸物件で法人登記する最大のメリットの一つが、家賃を経費として計上できる点です。

法人として契約した物件の家賃は「地代家賃」として損金算入できるため、法人税の節税に繋がります。

ただし、自宅兼事務所として利用する場合は注意が必要です。

家賃の全額を経費にすることはできず、事業で利用している分だけを按分(家事按分)して計上する必要があります。

按分の基準は、事業で使っている床面積の割合や、業務を行っている時間の割合など、実態に即した合理的な方法で算出します。

事業で使用する割合に応じて家賃や水道光熱費、通信費などを経費として計上でき、結果的に手元に残るキャッシュを増やす効果が期待できます

税務調査で指摘されないよう、按分の根拠は明確に説明できるようにしておくことが重要です。

項目計算方法経費計上額
事業使用割合(面積按分)仕事部屋15㎡ ÷ 全体の面積60㎡ = 25%
家賃150,000円 × 25%37,500円/月
水道光熱費(月15,000円と仮定)15,000円 × 25%3,750円/月
通信費(月5,000円と仮定)5,000円 × 25%1,250円/月

※上記はあくまで一例です。按分比率については、税理士などの専門家にご相談ください。

社会的信用度が向上する

会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載される本店所在地は、会社の「顔」ともいえる重要な情報です。

取引先や金融機関は、この住所を見て会社の信頼性を判断する材料の一つとします。

近年利用者が増えているバーチャルオフィスは安価で便利ですが、住所を多くの企業と共有するため、事業実態が掴みにくいという印象を与える可能性があります。

一方、実際に居住し、事業活動を行っている賃貸物件の住所で登記することで、しっかりとした事業基盤があるという信頼感に繋がります
特に、BtoB(企業間取引)がメインの事業や、実店舗を持たないECサイト運営などでは、実体のある住所が顧客や取引先に安心感を与える要素となります。

融資や助成金の申請で有利になる場合も

事業を拡大していく上で、日本政策金融公庫などからの融資や、国・地方自治体が実施する助成金・補助金の活用は欠かせません。

これらの制度の中には、申請要件として「事業実態のある事務所」を求めているものが少なくありません。

バーチャルオフィスでは申請対象外となる融資制度や助成金も、自宅兼事務所であれば要件を満たせるケースが多くあります

例えば、一部の創業融資や、特定の地域での起業を支援する補助金などでは、本店所在地に事業の実態があることが審査で重視されます。
また、建設業や古物商、人材派遣業など、許認可の取得に際して独立した事務所スペースが必須となる業種においても、自宅兼事務所がその要件を満たす場合があります。

将来的な資金調達や事業展開を見据えた場合、賃貸物件での法人登記は有効な選択肢と言えるでしょう。

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賃貸で法人登記を行う4つのデメリットと注意点

賃貸物件での法人登記は、コスト削減などのメリットがある一方で、見過ごせないデメリットや注意点も存在します。

契約後のトラブルを未然に防ぎ、安心して事業をスタートさせるためにも、ここで解説するリスクを事前にしっかりと把握しておきましょう。

大家さんや管理会社の許可が必須

賃貸で法人登記をする上で、最も重要かつ大前提となるのが、大家さん(オーナー)や管理会社の承諾を得ることです。

多くの一般的な居住用賃貸物件の契約書には、「居住目的のみに使用する」という条項が定められています。
この場合、無断で法人登記を行ったり、事務所として使用したりすることは明確な契約違反となります。

もし無断での登記が発覚した場合、以下のような深刻なトラブルに発展する可能性があります。

  • 契約解除を求められ、強制退去となる
  • 違約金や損害賠償を請求される
  • 信頼を失い、今後の賃貸契約が困難になる

法人登記を検討している場合は、必ず契約前に不動産会社を通じて大家さんに相談し、正式な許可を得てください。
その際、どのような事業を行うのか(業種、来客の有無、従業員の人数など)を具体的に説明し、理解を求めることが不可欠です。

許可が得られた場合は、後々のトラブルを避けるためにも、契約書に「法人登記可」「事業利用可」といった特約を明記してもらうようにしましょう。

看板の設置や人の出入りが制限される

法人登記や事業利用の許可が得られたとしても、居住用の賃貸物件である以上、オフィスビルのように自由に使えるわけではありません。
特に、看板の設置や人の出入りには厳しい制限が課されるのが一般的です。

制限事項具体的な内容と理由
看板・表札の設置建物の外観を損ねる、あるいは集合住宅の美観を乱すという理由から、独立した看板の設置はほぼ認められません。許可されるとしても、郵便受けやドアの表札に小さく会社名を記載する程度が限界です。
不特定多数の人の出入り不特定多数の顧客や取引先が出入りすることは、セキュリティの低下や騒音問題につながり、他の入居者の迷惑となるため、原則として禁止されます。店舗やサロンのような業態はまず許可されません。
従業員の常駐自分以外の従業員が常駐して働くことも、人の出入りが増えるため制限されるケースが多いです。あくまで代表者一人がメインで働くSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)としての利用が前提となります。

これらの制限から、賃貸物件での法人登記は、Webデザイナー、ライター、コンサルタント、ITエンジニアなど、来客がほとんどなく、一人で静かに完結できる業種に向いていると言えます。

退去時に原状回復費用が高くなる可能性

事業用として物件を使用すると、通常の居住利用に比べて床や壁の損耗が激しくなる傾向があります。
そのため、退去時の原状回復費用が想定よりも高額になる可能性があることを覚悟しておく必要があります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • オフィスチェアのキャスターによるフローリングの広範囲な傷やへこみ
  • コピー機やサーバーといった重量のあるOA機器の設置跡
  • 人の出入りや作業による壁紙の黒ずみや汚れ
  • 多数の配線を通すために生じた壁の傷

これらの損耗は「通常損耗」や「経年劣化」とは見なされず、「事業利用による特別な損耗」として借主の全額負担となることが一般的です。

敷金だけでは賄いきれず、数十万円単位の追加費用を請求されるリスクもゼロではありません。

対策として、入居前に床に保護マットを敷いたり、壁を汚さないように工夫したりすることが大切です。
また、契約時に事業利用した場合の原状回復の範囲について、貸主側としっかり確認し、書面で合意しておくことがトラブル防止につながります。

住宅ローン控除が受けられなくなるケース

購入した持ち家を自宅兼事務所として法人登記する場合、特に注意したいのが「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。

住宅ローン控除は、あくまで「自己の居住の用」に使われる部分に対して適用される制度です。

そのため、事務所として使用する事業用スペースの割合によっては、控除額が減ったり、最悪の場合は控除が一切受けられなくなったりします

具体的な基準は、建物の総床面積に占める「事業用スペースの割合」によって決まります。

事業用スペースの割合住宅ローン控除の適用
10%以下全額が控除の対象となります。
10%超~50%未満居住用スペースの割合に応じた部分のみが控除の対象となり、控除額が減額されます。
50%以上控除の適用対象外となり、一切受けることができません。

確定申告で家賃や光熱費を「家事按分」して経費計上する際、この事業用スペースの割合が重要な根拠となります。

税務上の経費計上と住宅ローン控除の適用は密接に関係するため、安易に高い割合で経費計上すると、後から税務署に指摘され、住宅ローン控除の適用を否認されるリスクがあります。

自宅兼事務所で法人登記を考えている方は、事前に税理士や管轄の税務署に相談し、適切な事業用割合を確認することをおすすめします。

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法人登記が可能な賃貸物件の探し方

法人登記を許可している賃貸物件は、一般的な居住用物件に比べて数が限られています。
しかし、探し方のコツさえ押さえれば、希望に合った物件を見つけることは十分に可能です。

ここでは、法人登記が可能な賃貸物件を探すための具体的な3つの方法を解説します。

「事務所可」「SOHO可」の条件で探す

最も基本的で効率的な探し方は、不動産情報サイトで「事務所可」や「SOHO可」といった条件を指定して検索することです。
これらの物件は、事業での利用を前提としているため、法人登記に関しても許可が得やすい傾向にあります。

ただし、「事務所可」と「SOHO可」では、想定される利用形態が異なるため、その違いを理解しておくことが重要です。

種類特徴注意点
事務所可物件不特定多数の来客や従業員の出入りが想定されており、事業活動の拠点として利用しやすい。看板の設置が許可される場合も多い。住居としての利用が認められない「事業用物件」の場合、キッチンや浴室などの設備が簡素、もしくは無いことがある。
SOHO可物件「Small Office/Home Office」の略。主に自宅兼事務所としての利用を想定。Webデザイナーやライターなど、来客が少ない職種に向いている。看板の設置が不可であったり、人の出入りに制限があったりする場合が多い。あくまで住居がメインという位置づけ。
住居兼事務所可物件SOHO可とほぼ同義。居住スペースと執務スペースを両立させることを前提としている。事業で利用するスペースの割合に制限が設けられていることがある(例:専有面積の50%未満など)。

これらの条件で検索する際は、SUUMOやHOME’Sといった大手不動産情報サイトの「こだわり条件」や「キーワード検索」機能を活用しましょう。

「法人登記可」という直接的な条件がない場合でも、これらの条件で絞り込み、物件の詳細情報や備考欄を確認することで、登記可能な物件が見つかることがあります。

不動産会社の担当者に直接相談する

Webサイトに掲載されている情報だけが全てではありません。

不動産会社の担当者に直接相談することで、インターネット上にはない未公開物件を紹介してもらえる可能性があります。

不動産会社を訪ねる際は、事前に以下の情報を整理しておくと、話がスムーズに進みます。

  • 会社の事業内容(どのようなビジネスを行うか)
  • 来客の頻度や人数
  • 従業員の有無と人数
  • 看板設置の希望
  • 法人登記が必須である理由

これらの情報を正直に伝えることで、担当者はオーナー(大家さん)に対して「どのような人が、どのように物件を利用するのか」を具体的に説明しやすくなります。

信頼できる入居者であることをアピールできれば、本来は登記を許可していない物件でも、特例として許可してくれるケースも少なくありません。

単に物件を探してもらうだけでなく、オーナーとの交渉役として、不動産会社の担当者と良好な関係を築くことが成功の鍵となります。

法人契約専門の不動産会社を利用する

スタートアップやベンチャー企業のオフィス探しを専門に扱う不動産会社も存在します。

こうした法人の賃貸契約に特化した不動産会社を利用するのも非常に有効な手段です。

法人契約専門の不動産会社には、以下のようなメリットがあります。

  • 豊富なノウハウ: 法人登記に関する知識が豊富で、登記可能な物件を効率的に紹介してくれます。
  • 交渉力: オーナーとの賃料交渉や条件交渉に長けており、有利な条件で契約できる可能性が高まります。
  • 審査対策: 設立間もない会社でも審査に通りやすくなるよう、事業計画書の書き方や必要書類の準備について的確なアドバイスをもらえます。
  • 独自の物件情報: 一般には出回らない、法人向けの優良物件情報を多数保有しています。

一般的な賃貸仲介会社では対応が難しいケースでも、専門の会社であればスムーズに話が進むことが期待できます。
特に、初めて法人登記を行う起業家や、審査に不安がある方にとっては、心強いパートナーとなるでしょう。

物件探しから契約、登記までをワンストップでサポートしてくれる会社も多いため、事業の立ち上げに集中したい方には最適な選択肢と言えます。

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賃貸契約の審査に通りやすくなる3つのポイント

法人登記が可能な物件を見つけても、必ず契約できるとは限りません。
特に設立間もない法人の場合、個人契約よりも審査が厳しくなる傾向があります。

大家さんや管理会社が抱く「家賃を滞納しないか」「トラブルを起こさないか」といった不安を払拭し、信頼できる契約相手だと認めてもらうことが重要です。

ここでは、賃貸契約の審査に通りやすくなる3つのポイントを具体的に解説します。

信頼性をアピールする事業計画書を準備する

法人契約の審査では、事業の安定性や将来性が重要な判断材料となります。

口頭で説明するだけでなく、客観的な資料として事業計画書を提出することで、信頼性が格段に向上します

大家さんや管理会社は不動産のプロですが、あなたの事業については素人です。

誰が読んでも分かりやすく、安心感を与えられるような事業計画書を作成しましょう。

最低限、以下の項目は盛り込むことをおすすめします。

項目記載内容のポイント
会社概要法人名、所在地、設立年月日、資本金、役員構成など、基本的な情報を正確に記載します。
代表者の経歴・実績代表者のこれまでの職務経歴や事業に関連する実績を記載し、事業遂行能力があることをアピールします。
事業内容どのような事業を行うのかを具体的に、かつ分かりやすく説明します。専門用語は避け、誰にでも理解できる言葉で記述しましょう。
収益計画具体的な売上や利益の見込みを、できれば月単位や年単位で示します。家賃の支払いが滞る心配がないことを数字で証明します。
物件の利用方法「事務所としてどのように利用するのか」を明確に伝える非常に重要な項目です。スタッフの人数、来客の頻度や人数、荷物の搬入出の有無、騒音や匂いが発生する可能性がないことなど、大家さんが懸念しそうな点を先回りして説明し、建物の用法を遵守することを誓約します。

特に、物件の利用方法については詳細に記載しましょう。「静かな環境でPC作業が中心」「来客は月に数回程度で、事前にアポイントを取った方のみ」など、具体的な利用イメージを伝えることで、大家さんは安心して物件を貸し出すことができます。

会社の謄本や印鑑証明書を揃えておく

審査をスムーズに進めるためには、必要書類を迅速に提出できる準備が不可欠です。

不動産会社から求められてから慌てて取得するのではなく、あらかじめ手元に揃えておきましょう。

準備の良さや対応の速さは、信頼できる法人であるという印象に繋がります

法人契約の審査で一般的に求められる主な書類は以下の通りです。

書類名取得場所注意点
履歴事項全部証明書(会社の謄本)法務局法人が実在することを証明する最も基本的な書類です。通常、発行から3ヶ月以内のものを求められます。
印鑑証明書(法人のもの)法務局契約書に押印する実印が本物であることを証明します。こちらも発行から3ヶ月以内のものが一般的です。
会社案内・パンフレット自社で作成事業内容を補足する資料として有効です。WebサイトのURLを伝えるだけでも構いません。
決算書自社で作成設立2期目以降の法人の場合、財務状況を示すために提出を求められることがあります。

新設法人で決算書がない場合は、前述の事業計画書がその代わりとなります。
これらの書類をクリアファイルなどにまとめておき、いつでも提出できる状態にしておくと、審査が円滑に進みます。

代表者の連帯保証で契約する

設立して間もない法人や実績の少ない法人は、社会的信用力がまだ十分ではありません。そのため、大家さんや管理会社から見ると、家賃滞納のリスクが高いと判断されがちです。その信用を補完するために、法人の代表者が連帯保証人になることを求められるケースがほとんどです

連帯保証人とは、万が一法人が家賃を支払えなくなった場合に、法人に代わって支払義務を負う人のことです。

代表者が連帯保証人になることで、大家さんは「代表者個人にも支払い能力と責任感がある」と判断し、安心して契約を結ぶことができます。

「法人として契約するのになぜ個人が?」と疑問に思うかもしれませんが、特にスタートアップや小規模な会社の場合、代表者の連帯保証は審査通過のための必須条件と考えるべきです。
これを拒否してしまうと、審査に通る可能性は極めて低くなるでしょう。

近年では、代表者の連帯保証に加えて、家賃保証会社の利用が必須となるケースも増えています。
これらの条件には柔軟に応じる姿勢を見せることが、スムーズな契約締結の鍵となります。

賃貸での法人登記が難しい場合の代替案

「気に入った物件が法人登記NGだった」「審査に通らなかった」など、希望の賃貸物件で法人登記ができないケースは少なくありません。しかし、諦める必要はありません。

ここでは、賃貸物件以外で法人登記を行うための現実的な代替案を2つご紹介します。

それぞれの特徴を理解し、ご自身の事業内容や予算に最適な方法を選びましょう。

バーチャルオフィスを利用する

バーチャルオフィスとは、その名の通り「仮想の事務所」です。

物理的な執務スペースを借りるのではなく、事業に必要な住所や電話番号、法人登記用の住所などをレンタルできるサービスを指します。

実際の作業は自宅やカフェなどで行い、住所だけを借りるというスタイルです。

バーチャルオフィスのメリット

最大のメリットは、圧倒的な低コストで都心の一等地の住所を確保できる点です。
月額数千円から利用できるサービスが多く、敷金や礼金といった高額な初期費用もかかりません。
法人登記に利用できる住所は、企業のブランドイメージや社会的信用度にも影響を与えるため、港区や中央区といったビジネス中心地の住所が手軽に持てるのは大きな魅力です。
また、自宅住所を公開せずに済むため、プライバシー保護の観点からも有効です。
郵便物や宅配便の受け取り・転送サービスも基本プランに含まれていることがほとんどです。

バーチャルオフィスのデメリットと注意点

手軽な一方で、注意すべき点もあります。最も重要なのは、許認可が必要な特定の業種では、バーチャルオフィスでの登記が認められないケースがあることです。
例えば、建設業、人材派遣業、古物商、士業(弁護士、税理士など)といった、事業を行うための独立した事務所スペースが法律で定められている業種は利用できません。
また、物理的なオフィスがないため、金融機関からの融資審査などでマイナスの評価を受ける可能性もゼロではありません。
あくまで住所貸しサービスであるため、作業スペースは別途確保する必要があります。

起業マニュアル

この記事では、バーチャルオフィスの基本的な仕組みから、賃貸オフィスとの費用比較、法人登記や銀行口座開設におけるメリット・…

レンタルオフィスやコワーキングスペースを検討する

物理的な作業スペースも確保しつつ、法人登記も行いたい場合には、レンタルオフィスやコワーキングスペースが有力な選択肢となります。

どちらも法人登記に対応している施設が多く、賃貸物件を借りるよりも手軽に事業を始められます。

レンタルオフィスの特徴

レンタルオフィスは、施錠可能な個室スペースを借りるサービスです。
プライバシーが確保された専用の執務空間で、法人登記も可能な点が大きな特徴です。
デスクや椅子、インターネット回線、複合機などが完備されていることが多く、PC一台ですぐに業務を開始できます。
賃貸オフィスを契約するよりも初期費用を抑えられ、物理的な拠点があるため社会的信用度もバーチャルオフィスより高くなります。
ただし、その分、月額費用はバーチャルオフィスやコワーキングスペースに比べて高額になる傾向があります。

コワーキングスペースの特徴

コワーキングスペースは、オープンスペースを複数の利用者と共有する形態のワークスペースです。
レンタルオフィスよりも安価に利用でき、法人登記や住所利用が可能な月額プランを用意している施設が多数あります
最大の魅力は、多様な業種の利用者との交流が生まれやすい点です。
イベントや交流会が頻繁に開催される施設も多く、新たなビジネスチャンスや人脈形成につながる可能性があります。
一方で、オープンスペースであるため、電話やWeb会議の内容が周囲に聞こえてしまう、機密情報の取り扱いに注意が必要といったデメリットもあります。

【比較表】法人登記の代替案まとめ

ここまで紹介した代替案の特徴を、比較しやすいように表にまとめました。
ご自身の事業フェーズや働き方に合わせて最適な選択肢を見つけてください。

バーチャルオフィスレンタルオフィスコワーキングスペース
法人登記可能(業種制限あり)可能可能(プランによる)
物理スペースなしあり(個室)あり(共有)
月額費用安い(数千円〜)高い(数万円〜)比較的安い(1万円〜)
プライバシー(自宅作業なら)高い高い低い
社会的信用度
おすすめの事業Web完結型ビジネス、コストを最優先したいスタートアップ士業、コンサルタントなど機密情報を扱う事業、少人数のチームフリーランス、スタートアップ、人脈を広げたい起業家

まとめ

賃貸物件での法人登記は、大家さんや管理会社の許可があれば可能です。

自宅兼事務所にすることで初期費用を大幅に削減でき、社会的信用が向上するメリットがあります。

一方で、看板設置の制限や原状回復費用などの注意点も存在するため、契約前の確認が不可欠です。

法人登記を目指すなら「事務所可」「SOHO可」の物件を探し、信頼性を示す事業計画書を準備して審査に臨みましょう。

登記可能な物件が見つからない場合は、バーチャルオフィスやレンタルオフィスの利用も有効な代替案となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
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