知らないと損!定款の事業目的をたくさん書くメリット・デメリットを徹底解説

会社設立を控え、定款の事業目的はたくさん書くべきか悩んでいませんか?

結論として、将来の事業展開を見据えて複数記載することは有効ですが、むやみに多すぎると会社の専門性が疑われ、融資や許認可で不利になるデメリットもあります。

本記事では、事業目的をたくさん書くメリット・デメリットを徹底解説。

登記変更の手間や費用を削減しつつ、会社の信頼性を高めるための最適な事業目的の数、具体的な書き方のポイントまで詳しくご紹介します。

この記事を読めば、あなたの会社に最適な事業目的の作り方が明確になります。

定款の事業目的はたくさん書くべきか

会社を設立する際、多くの起業家が頭を悩ませるのが「定款に記載する事業目的の数」です。

将来の事業展開を見越してたくさん書いておくべきか、それとも専門性をアピールするために絞るべきか。
これは、会社の未来を左右しかねない重要な判断です。

結論から言うと、「事業目的をたくさん書くこと」が必ずしも正解とは限りません。

会社の事業戦略や将来のビジョン、対外的な見え方などを総合的に考慮し、メリットとデメリットを天秤にかけて判断する必要があります。

この章では、まず事業目的の基本的な考え方を整理し、たくさん書くべきかどうかの判断基準を明確にしていきます。

事業目的の基本ルールと役割

定款に記載する「事業目的」とは、その会社がどのような事業を行うのかを内外に示す、会社の活動範囲を定めたものです。

会社法上、会社は定款に記載された事業目的の範囲内でしか事業活動を行うことができません。

この事業目的は、法務局で登記されることで第三者にも公開されます。

そのため、取引先や金融機関、顧客などが「この会社は何をしている会社なのか」を判断するための重要な情報源となります。

もし定款に記載のない事業を始めたい場合は、後述する事業目的の変更手続きが必要となり、時間とコストがかかってしまいます。

このルールがあるからこそ、「将来のために、あらかじめ多くの事業目的を記載しておくべきでは?」という考えが生まれるのです。

たくさん書くケースと絞るケースの比較

事業目的をたくさん書く場合と、あえて絞って書く場合では、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

どちらが自社に適しているか、以下の表で比較検討してみましょう。

比較項目たくさん書くケース絞って書くケース
主なメリット将来の事業展開に柔軟に対応でき、事業拡大時の手間とコストを削減できる。事業内容が明確で、専門性の高さをアピールしやすい。会社のブランディングに繋がる。
主なデメリット「何屋か分からない」と見なされ、専門性が低い印象を与える可能性がある。新規事業を始める際に、定款変更の手間とコスト(登録免許税など)が発生する。
向いている会社複数の事業展開を計画しているIT企業、新規事業を積極的に模索するスタートアップなど。コンサルティング会社、士業、特定の技術に特化した製造業など、専門性を強みとする会社。

結論:あなたの会社に合った選択をするために

結局のところ、事業目的をたくさん書くべきか、それとも絞るべきかは、あなたの会社の現在の状況と、将来描いているビジョンによって決まります。

例えば、設立当初から複数の事業アイデアがあり、ピボット(事業転換)の可能性も視野に入れているスタートアップであれば、関連する事業目的を幅広く記載しておく方が合理的でしょう。

一方で、特定の分野における高い専門性を武器に信頼を獲得したいコンサルティングファームや士業法人であれば、事業目的を絞り込むことで、その道のプロフェッショナルであることを明確に示すことができます。

大切なのは、流行りや他社の真似をするのではなく、「自社が社会や顧客からどう見られたいか」「将来どのような会社に成長したいか」という視点で戦略的に決めることです。

次の章からは、事業目的をたくさん書くことの具体的なメリットとデメリットを、さらに深掘りして解説していきます。

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定款の事業目的をたくさん書く5つのメリット

会社の憲法ともいえる定款。その中でも「事業目的」は、会社がどのような事業を行うかを示す重要な項目です。

会社設立時に、将来行う可能性のある事業まで含めて事業目的をたくさん記載しておくことには、多くのメリットが存在します。

具体的にどのような利点があるのか、5つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。

将来の事業展開に柔軟に対応できる

会社設立時に思い描いていた事業が、数年後も同じであるとは限りません。

市場の変化や新たなビジネスチャンスの発見により、事業内容をピボット(方向転換)したり、多角化したりすることは珍しくありません。

その際、あらかじめ関連する事業目的を定款に記載しておけば、定款変更という手続きを踏むことなく、スムーズに新しい事業に着手できます。

例えば、当初は「Webサイト制作事業」のみを考えていたとしても、「Webコンサルティング事業」「インターネット広告代理店事業」「ECサイトの運営」などを加えておくことで、ビジネスチャンスを逃さず、経営の自由度を高め、迅速な事業展開が可能になります

事業目的変更の手間とコストを削減できる

定款の事業目的を後から追加・変更する場合、法的な手続きが必要となり、時間と費用の両方がかかります。

具体的には、「株主総会の特別決議」を開いて議事録を作成し、その後、法務局で「変更登記申請」を行わなければなりません。

これらの手続きには、以下のような手間とコストが発生します。

項目内容
必要な手続き株主総会を招集し、定款変更について特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成)を得る必要があります。
必要な費用法務局へ支払う登録免許税として、30,000円が必要です。また、手続きを司法書士に依頼する場合は、別途3万円〜5万円程度の報酬が発生します。
かかる期間株主総会の準備から登記完了まで、一般的に2週間から1ヶ月程度の期間を要します。

会社設立時に事業目的を多めに記載しておけば、将来起こりうるこれらの手続きを回避でき、本業に集中するための貴重な時間と資金を節約できます

会社の信頼性が高まる可能性がある

金融機関や取引先は、契約や融資の際に会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を確認することがあります。

その際、事業目的が多岐にわたっていると、「事業領域が広く、将来的な成長や多角化も視野に入れている計画的な会社だ」という印象を与えることができます。

事業の将来性や経営者のビジョンが明確に示されていると評価され、対外的な信用度向上につながるケースがあるのです。

特に、複数の事業が有機的に関連している場合、シナジー効果への期待からポジティブな評価を得やすくなるでしょう。

新規事業をすぐに始められる

現代のビジネス環境は変化のスピードが非常に速く、新たなビジネスチャンスはいつ訪れるか分かりません。

「このアイデアは今すぐ形にしたい」と思っても、事業目的の変更手続きに数週間を要していては、競合他社に先を越されてしまうリスクがあります。

定款に事業目的がすでに記載されていれば、取締役会の決議など社内での意思決定だけで、すぐに新規事業をスタートさせることが可能です。

このスピード感は、特に競争の激しい業界や、新しいトレンドが次々と生まれるIT分野などにおいて、大きなアドバンテージとなります。

金融機関からの評価向上につながるケースも

会社が成長していく過程で、金融機関からの融資(資金調達)は不可欠です。

融資審査では、事業内容や収益性だけでなく、事業計画の妥当性や将来性も厳しくチェックされます。

提出する事業計画と定款の事業目的に一貫性があり、将来の成長戦略が事業目的にもしっかりと反映されていれば、計画の説得力が増します。

例えば、飲食事業で創業する会社が、将来の展開として「食料品の通信販売」や「料理教室の運営」を事業目的に含めていれば、事業の多角化による安定性や成長意欲をアピールできます。

これにより、金融機関に対して計画的で将来性のある企業であることを示し、融資審査で有利に働くことがあります

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定款の事業目的をたくさん書く4つのデメリット

定款の事業目的をたくさん書くことには、将来の事業展開への備えなど多くのメリットがある一方で、見過ごせないデメリットも存在します。

メリットだけに目を向けて安易に事業目的を増やしてしまうと、思わぬところで事業の足かせになる可能性があります。

ここでは、事業目的をたくさん記載することによって生じる具体的な4つのデメリットを詳しく解説します。

事業内容が分かりにくくなる

事業目的の数が多すぎると、その会社が「一体何をしている会社なのか」という本質が外部から分かりにくくなります。

会社のウェブサイトや登記情報を確認した取引先、顧客、金融機関、さらには求職者などが、「この会社はどの事業を主軸にしているのだろう?」と疑問を抱く原因になります。

例えば、ITコンサルティングを主軸とする会社が、事業目的に「飲食店の経営」「アパレル製品の販売」「不動産の賃貸」「旅行代理店業」などを脈絡なく羅列していると、専門性がぼやけてしまい、企業のコアコンピタンス(中核となる強み)が伝わりません。

結果として、取引の機会を失ったり、採用活動でミスマッチが生じたりするリスクが高まります。

専門性が低いと見なされるリスク

事業内容が分かりにくいことに加え、関連性の薄い事業目的が多数並んでいると、「何でも屋」という印象を与え、特定の分野における専門家としての信頼を損なう恐れがあります。

特に、高度な専門知識や技術力が求められる業界では、このデメリットが顕著に現れます。

例えば、最先端のAI開発を手掛ける企業が、事業目的に多くの異業種を記載していると、「本当に技術開発に集中できているのか」「リソースが分散して品質が低いのではないか」といった疑念を抱かれかねません。

企業のブランディング戦略において、専門性や権威性を示すことは極めて重要です。

事業目的の多さが、かえって企業イメージを低下させる可能性があることを認識しておく必要があります。

融資審査で不利になる可能性

金融機関からの融資、特に日本政策金融公庫などを利用した創業融資を受ける際、事業目的の多さが審査で不利に働くケースがあります。

金融機関は、提出された事業計画書と代表者の経歴、そして定款の事業目的に一貫性があるかを厳しくチェックします。

事業目的が多岐にわたる場合、審査官は以下のような懸念を抱く可能性があります。

  • 融資を希望する事業と無関係な目的が多いため、経営資源が分散し、本業に集中できないのではないか。
  • 代表者の過去の経歴や経験と、記載されている事業目的との関連性が薄く、事業の実現可能性に疑問がある。

特に創業融資では、事業計画の実現可能性と代表者の能力が重視されます。

関連性の低い事業目的を多数記載していると、事業計画への本気度を疑われたり、説明責任が増えたりするなど、審査においてマイナスの印象を与えてしまうリスクがあるのです。

許認可が必要な事業で注意が必要

事業を行うにあたって、特定の許認可(許可・認可・届出など)が必要な業種があります。

事業目的の記載方法によっては、この許認可の取得に影響が出ることがあるため、細心の注意が必要です。

許認可によっては、定款の事業目的に特定の文言を正確に記載することが申請の要件となっている場合があります。

例えば、「リサイクルショップを開きたい」と考えて「不用品の販売」と記載しただけでは、古物商の許可申請が受理されない可能性があります。

「古物営業法に基づく古物の売買」といった、法律に沿った正確な記載が求められるのです。

逆に、許認可が必要な事業を行う予定がないにもかかわらず、それを示唆するような文言を安易に記載してしまうと、行政から問い合わせを受けたり、取引先から許認可証の提示を求められたりする混乱を招くこともあります。

以下に、許認可が必要な事業と定款記載例の一部を示します。

許認可の必要な事業(例)定款への記載が求められる文言(例)注意点
古物商古物営業法に基づく古物の売買及び交換「リサイクル品の販売」といった曖昧な表現は避け、法律に基づいた文言を記載する必要があります。
建設業建設工事の設計、施工、監理及び請負取得したい建設業許可の業種(例:土木工事業、建築工事業)を具体的に記載することが望ましいです。
宅地建物取引業宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業「不動産の売買、賃貸、仲介及び管理」など、事業内容が明確にわかるように記載します。
労働者派遣事業労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業「人材派遣業」という記載でも可能ですが、法律名を入れることでより明確になります。

将来的に許認可が必要な事業を計画している場合は、会社設立前に必ず行政書士などの専門家に相談し、適切な事業目的の文言を確認することが不可欠です。

安易な記載は、将来の事業展開の大きな障壁となり得ます。

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適切な事業目的の数は何個か

定款に記載する事業目的の数について、会社法などの法律で「何個まで」といった上限や下限は定められていません。

理論上は1個でも100個でも記載は可能です。

しかし、多すぎても少なすぎても実務上のデメリットが生じる可能性があるため、会社の状況に応じた「適切な数」の目安を理解しておくことが重要です。

ここでは、会社のフェーズごとに適切な事業目的の数を解説します。

会社設立時の目安

これから会社を設立する場合、事業目的の数は10個前後を目安にするのが一般的です。

これには、将来の事業展開への柔軟性と、会社の専門性や信頼性を両立させるという意図があります。

具体的には、現在すぐに行う事業を2〜3個、1〜3年程度の近い将来に展開する可能性のある事業を5〜7個、そして最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」という一文を加えることで、バランスの取れた事業目的のリストを作成できます。

事業目的の数によるメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

事業目的の数メリットデメリット
1〜3個程度・事業内容が非常に明確
・専門性が高いと見なされやすい
・新規事業を始める際に都度変更が必要
・事業の広がりがないと見られる可能性
10個前後(推奨)・将来の事業展開に柔軟に対応可能
・事業内容の明確さも保ちやすい
・対外的な信頼性を損ないにくい
・関連性の薄い事業を並べると統一感がなくなる
20個以上・事業目的変更の手間がほぼ発生しない
・様々な事業に即時着手できる
「何をしている会社か」が不明確になる
・専門性が低い、事業に一貫性がないと見なされる
・融資審査でマイナス評価を受けるリスク

設立当初は、あまりに多くの事業目的を羅列するよりも、自社のコア事業と将来の方向性を的確に表現できる数に絞り込む方が、金融機関や取引先からの信頼を得やすくなるでしょう。

事業拡大フェーズでの考え方

すでに事業が軌道に乗り、多角化や新規市場への参入を検討する事業拡大フェーズでは、会社設立時とは異なる視点が必要です。

この段階では、既存の事業目的の範囲外で新たなビジネスを始める際に、事業目的の追加を検討することになります。

重要なのは、やみくもに数を増やすのではなく、事業計画や中期経営計画と連動させて、具体的に着手する蓋然性の高い事業に絞って追加することです。

例えば、M&Aによって新たな事業領域が加わった場合や、市場の変化に対応して新サービスを立ち上げる場合などが該当します。

このフェーズでは、事業の実態と定款の記載内容を一致させることが、コンプライアンスやガバナンスの観点からも重要になります。

事業目的の追加には後述する変更登記の手間とコストがかかりますが、事業の実態に合わせて定款を適切にメンテナンスしていくことは、成長企業にとって不可欠なプロセスと言えます。

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事業目的の書き方のポイントと記載例

定款の事業目的は、会社の「顔」ともいえる重要な項目です。

登記官や金融機関、取引先など、誰が見ても事業内容を正確に理解できるように記載する必要があります。

ここでは、事業目的を具体的に作成する際の3つの基本原則と、将来を見据えた書き方のコツを、具体的な記載例とともに詳しく解説します。

適法性・営利性・明確性を意識する

事業目的の登記においては、「適法性」「営利性」「明確性」という3つの要件を満たすことが絶対条件です。

これらの要件が一つでも欠けていると、法務局での登記申請が受理されない可能性があるため、必ず押さえておきましょう。

適法性

事業目的は、法律や公序良俗に反していない内容でなければなりません。
例えば、「賭博の運営」や「詐欺行為の代行」といった違法な事業はもちろんのこと、弁護士資格が必要な法律事務を無資格で行うなど、各種法律に抵触する可能性のある事業も記載できません。
当たり前のことですが、社会のルールに則った事業であることが大前提です。

営利性

株式会社や合同会社は利益を追求する法人であるため、事業目的には営利性が求められます。
「ボランティア活動」や「寄付活動」そのものを主たる事業目的とすることはできません。
ただし、事業活動の結果として社会貢献につながるような、CSR(企業の社会的責任)活動に関連する内容であれば、事業の一環として認められるケースもあります。

明確性

事業目的は、誰が読んでもその事業内容を具体的にイメージできる明確な言葉で表現する必要があります。
一般的でない専門用語や、意味の広い抽象的な言葉、あるいは自社だけの造語などは避けるべきです。
例えば、「世界を幸せにする事業」といった表現では、何を行う会社なのか全く分かりません。
「コンサルティング事業」と記載するよりも、「経営コンサルティング事業」「ITコンサルティング事業」のように、分野を特定して具体的に記述することが望ましいです。
日本語の文法として成立しており、一般的に理解できる言葉を選びましょう。

将来性を見据えた書き方

会社設立時には、現在計画している事業だけでなく、将来的に展開する可能性のある事業もあらかじめ事業目的に含めておくことが非常に重要です。

例えば、Web制作会社を設立する場合、現在はサイト制作がメインでも、将来的にはシステム開発やWebマーケティング支援、自社メディアの運営なども手掛ける可能性があります。

これらの事業を設立当初から記載しておけば、後から事業目的を追加する手間や費用(登録免許税3万円など)を節約できます。

ただし、あまりにも本業とかけ離れた事業(例:IT企業が突然「鮮魚の養殖」を記載する)を多数羅列すると、会社の専門性が分かりにくくなり、融資審査などで「事業計画に一貫性がない」と見なされるリスクもあります。

現在の事業から自然に派生・拡大しうる範囲で、2〜3年先を見据えた事業を記載するのが現実的なラインです。

附帯関連事業の一文を有効活用する

事業目的の最後に、いわば「魔法の言葉」として知られる一文を追加することが一般的です。

それは、「前各号に附帯又は関連する一切の事業」というものです。

この一文を加えておくことで、記載した各事業目的に付随して発生する業務を広くカバーすることができます。

例えば、「飲食店の経営」という事業目的があれば、店舗でオリジナルグッズを販売したり、料理教室を開催したりといった関連業務がこの一文によって正当化されやすくなります。

しかし、この一文は万能ではありません。あくまで「附帯・関連」する範囲に限られるため、記載済みの事業と全く関連性のない新規事業を始める場合には、この一文だけでは不十分です。

その際は、きちんと株主総会で定款を変更し、事業目的の追加登記を行う必要があります。

事業目的の記載例【業種別】

ここでは、代表的な業種別に事業目的の記載例を紹介します。

「基本的な事業目的」と、将来を見据えて「追加を検討したい事業目的」に分けて記載していますので、ご自身の事業計画に合わせて参考にしてください。

業種基本的な事業目的の例追加を検討したい事業目的の例
IT・Web関連1.コンピュータシステムの企画、開発、販売及び保守
2.ウェブサイト、ウェブコンテンツの企画、制作及び運営
3.ITに関するコンサルティング
・インターネット広告代理事業
・アプリケーションソフトウェアの企画、開発及び販売
・各種情報の収集、分析及び提供サービス
・IT人材の育成及び研修事業
コンサルティング業1.経営コンサルティング業務
2.マーケティングに関する調査、企画及びコンサルティング
3.各種研修、セミナー、講演会の企画及び運営
・書籍、雑誌その他印刷物の企画、執筆、編集及び出版
・市場調査及び各種情報の提供サービス
・営業代行及び販売促進支援事業
・人材採用に関するコンサルティング
飲食業1.飲食店の経営
2.食料品の販売
3.酒類の販売
・弁当、惣菜の製造及び販売
・ケータリングサービス及び出張料理
・料理教室の企画及び運営
・フランチャイズチェーンシステムによる飲食店の経営及び経営指導
小売業(アパレル)1.衣料品、服飾雑貨の企画、製造、販売及び輸出入
2.インターネット等を利用した通信販売
3.古物の売買
・日用品雑貨、アクセサリーの企画、販売
・店舗の内装デザイン及び施工
・スタイリングに関するコンサルティング
・ブランドのライセンス事業

最後に、定款の末尾には忘れずに「前各号に附帯又は関連する一切の事業」の一文を加えておきましょう。

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後から事業目的を追加・変更する方法

会社の状況の変化や事業拡大に伴い、設立当初に定めた事業目的以外のビジネスを手掛けたくなるケースは少なくありません。
ご安心ください。
定款に記載した事業目的は、会社設立後でも追加・変更が可能です。

ただし、そのためには「定款変更」と「変更登記」という2つの法的な手続きを踏む必要があります。

ここでは、その具体的な手順と必要な費用について詳しく解説します。

株主総会の特別決議が必要

事業目的の変更は、会社の根本規則である定款の内容を変更する行為にあたります。

これは会社の経営方針に大きな影響を与える重要事項であるため、株主総会を開催し、「特別決議」を得る必要があります。

特別決議とは、普通決議よりも可決要件が厳しく設定されている決議方法です。

原則として、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成がなければ可決されません。

手続きの主な流れは以下の通りです。

  1. 株主総会の開催を決定し、変更したい事業目的の案を固める。
  2. 株主に対して、株主総会の開催日時、場所、議題などを記載した招集通知を発送する。
  3. 株主総会を開催し、事業目的の変更について審議し、特別決議による承認を得る。
  4. 決議内容を証明する書類として、株主総会議事録を作成・保管する。

この株主総会議事録は、後の登記申請で必ず必要となる重要な書類です。

登記申請の手続きと費用

株主総会で定款の変更を決議しただけでは、手続きは完了しません。

その変更内容を法務局に届け出て、登記簿に反映させる「変更登記申請」を行う必要があります。

この登記を完了して初めて、変更した事業目的を対外的に主張できるようになります。

注意点として、登記申請は、株主総会で決議した日から2週間以内に行わなければならないと会社法で定められています。

期限を過ぎると過料(罰金)の対象となる可能性があるため、速やかに手続きを進めましょう。

変更登記申請に必要な主な書類

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 委任状(司法書士などに依頼する場合)

手続きにかかる費用

事業目的の変更登記には、主に「登録免許税」と、専門家に依頼する場合は「司法書士への報酬」が発生します。

費用の内訳は以下の表を参考にしてください。

項目費用の目安備考
登録免許税30,000円事業目的の変更登記1件あたりにかかる税金で、法務局に納付します。
司法書士への報酬30,000円~50,000円程度書類作成から申請代行までを司法書士に依頼する場合の報酬です。事務所によって料金は異なります。
その他実費数千円程度変更後の登記事項証明書(登記簿謄本)の取得費用などです。

このように、後から事業目的を追加・変更することは可能ですが、時間とコストがかかります。

そのため、会社設立時に将来の事業展開をある程度見越して事業目的を記載しておくことが、結果的に効率的な会社経営につながると言えるでしょう。

まとめ

定款の事業目的をたくさん書くことには、将来の事業展開への柔軟性というメリットがある一方、事業内容が不明確になり融資や許認可で不利になるデメリットも存在します。

結論として、やみくもに増やすのではなく、将来性を見据えつつ10個前後を目安に記載するのが賢明です。

後から事業目的を追加・変更するには、株主総会の特別決議と登記費用がかかるため、設立時に慎重に検討することが重要です。

「その他上記各号に附帯関連する一切の事業」の一文も活用し、自社に最適な事業目的を設定しましょう。

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