【専門家が解説】会社設立日を土・日にできない理由と登記申請の代替案

会社設立日を、縁起の良い大安や記念日である土日にしたいとお考えではありませんか。

結論から申し上げると、法務局が閉庁している土・日・祝日を会社の設立日にすることはできません。

会社の設立日は、法務局に登記申請を行った日と定められているためです。この記事では、なぜ土日を設立日にできないのかという明確な理由から、オンライン申請なら可能なのかといったよくある疑問までを解消します。

さらに、どうしても希望の日を設立日にしたい場合の代替案や、登記申請をスムーズに進めるための具体的な方法を専門家が分かりやすく解説します。

会社設立日を土・日にできない明確な理由

結論から申し上げると、会社の設立日を土曜日、日曜日、祝日にすることはできません。

これは、希望や慣習の問題ではなく、会社法という法律と、登記手続きを管轄する法務局の運用ルールに基づいた明確な理由があるためです。

なぜ希望の日を設立日にできないのか、その仕組みを正しく理解しておきましょう。

会社の設立日は登記申請日となる

会社の設立日は、創業者や経営者が自由に決められるわけではありません。

会社法において、会社は「その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」と定められています。

これはつまり、法務局に設立登記の申請書を提出し、それが受理された日が、法的な「会社設立日」になるということです。

定款を作成した日や認証を受けた日、あるいは資本金を払い込んだ日など、設立準備には様々な日付が関わりますが、それらは設立日にはなりません。

あくまで、法務局での「登記申請日」が会社の誕生日として登記簿(登記事項証明書)に記載される、という点をまず押さえておくことが重要です。

このルールが、土・日に設立できない直接的な原因につながります。

法務局は土・日・祝日に業務を行っていない

登記申請を受け付ける法務局は国の行政機関です。

そのため、一般的な役所と同様に、業務を行っている曜日と時間が決まっています。

具体的には、土曜日、日曜日、国民の祝日、そして年末年始(12月29日から1月3日)は閉庁日となり、一切の業務を行っていません。

これは、窓口での直接申請だけでなく、後述するオンライン申請や郵送申請であっても同様です。

例えば、金曜日の業務時間終了後や土曜日にオンラインで申請データを送信したとしても、法務局がその申請を受理するのは次の開庁日(通常は月曜日)となります。

その結果、会社設立日も月曜日の日付で登記されることになります。

法務局が業務を行っていない限り、登記申請が受理されることはないため、土・日・祝日を会社設立日にすることは物理的に不可能なのです。

項目内容
開庁日月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)
閉庁日土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
窓口対応時間午前9時から午後5時まで(登記申請)
業務時間全体午前8時30分から午後5時15分まで
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会社設立日に関するよくある誤解

会社設立の手続きを進める中で、設立日に関して多くの方が抱きがちな誤解があります。

「会社設立日を土日にしたい」という希望を持つ方ほど、これらの誤解によって計画が狂ってしまう可能性があります。

ここでは、特に注意すべき2つのポイントを詳しく解説し、正確な知識を身につけていきましょう。

会社の設立日と創業日は異なる

まず理解しておくべき最も重要な点は、「会社設立日」と「創業日」は法的な意味合いが全く異なるということです。

この2つを混同していると、希望の日に会社を設立できないという事態に陥りがちです。

それぞれの定義と違いを明確に把握しておきましょう。

具体的には、以下のような違いがあります。

項目会社設立日創業日(創立記念日)
定義法務局へ登記申請を行い、登記が完了した日。法的に会社が誕生した日。事業を開始した日や店舗を開店した日など、会社が任意で定める記念日。
日付の決め方法務局の開庁日に登記申請が受理された日となり、任意で過去や未来の日付、閉庁日は選べない。法律上の定めはなく、土・日・祝日や元旦など、いつでも自由に設定可能。
法的効力法人格が取得され、会社名義での契約や銀行口座開設が可能になるなど、法的な効力が発生する。法的な効力は一切ない。社内的な記念日としての意味合いが強い。

このように、設立日は法的な効力を持つ公式な日付であり、創業日は会社が自由に定められる記念日であると覚えておいてください。

もし土・日・祝日などの特定の日を記念日にしたい場合は、その日を「創業日」として設定し、登記手続きは別途平日に進める、という方法を取ることになります。

オンライン申請なら土・日でも登記できるのか

「役所が閉まっていても、オンライン申請なら24時間365日手続きできるのでは?」と考える方も多いでしょう。

実際に、法務局が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を利用すれば、土・日・祝日や夜間でも申請データを送信すること自体は可能です。

しかし、残念ながらオンライン申請を利用しても、土・日・祝日を会社設立日にすることはできません。

その理由は、会社の設立日が「申請データを送信した日」ではなく、「法務局の登記官が申請内容を審査し、受理した日」になるためです。

オンラインで申請データが送信されても、登記官がその内容を確認・処理するのは法務局の業務時間内、つまり平日のみです。

例えば、金曜日の夜や土曜日にオンラインで登記申請を行った場合、申請データは法務局のサーバーに保管されますが、登記官がそれを確認するのは次の開庁日である月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)になります。

その結果、会社設立日は月曜日(または火曜日)の日付で登記されることになります。

これは、オンライン申請の利便性と、登記手続きのルールが別であることを示しています。

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土・日に会社設立の手続きを進めたい場合の代替案

会社の設立日を土曜日・日曜日・祝日にすることはできませんが、手続きの一部を土日に行ったり、希望の日を設立日にするための工夫をしたりすることは可能です。

ここでは、平日に時間を確保するのが難しい方や、特定の日を設立日にしたい方向けの具体的な代替案を解説します。

登記申請をオンラインや郵送で行う方法

法務局の窓口が開いている平日の日中に時間を取れない場合でも、オンライン(電子申請)や郵送を利用すれば登記申請が可能です。

これにより、土日などの休日を利用して申請準備を進めることができます。

オンライン申請(e-Gov)のメリットと注意点

オンライン申請は、政府が運営する「e-Gov(イーガブ)」というシステムを利用して、インターネット経由で登記申請を行う方法です。
24時間365日いつでも申請データを送信できるため、土日や夜間に手続きを進めたい方に適しています。

ただし、土日祝日に申請データを送信しても、法務局がそれを受理して登記処理を行うのは翌営業日以降となります。
したがって、会社設立日も法務局の開庁日である平日になります。

項目詳細
メリット法務局へ出向く必要がなく、全国どこからでも申請可能24時間365日、自分の都合の良い時間に申請作業ができる電子定款を利用する場合、定款認証の印紙代4万円が不要になる登録免許税の支払いをインターネットバンキング等で行える
注意点申請者本人のマイナンバーカードと、ICカードリーダライタまたは対応スマートフォンが必要専用ソフトのインストールやブラウザの設定など、事前の準備が煩雑に感じることがある申請データの作成には一定の専門知識が求められる不備があった場合の補正指示がオンライン上で行われるため、見落とさない注意が必要

オンライン申請は、特に遠隔地から会社を設立する場合や、コストを少しでも抑えたい場合に有効な手段です。

郵送申請の手順と気をつけるべきこと

作成した登記申請書類一式を、管轄の法務局宛に郵送で提出する方法もあります。
この方法を使えば、土日に書類を作成・準備し、週明けに発送するといった進め方が可能です。

郵送申請で最も重要な注意点は、会社設立日が「法務局に申請書類が到着した日(開庁日)」になることです。
例えば、金曜日に速達で発送し、土曜日に法務局に到着した場合でも、設立日は翌営業日である月曜日になります。
書類に不備があった場合は、補正のためにさらに時間がかかり、設立日が後ろにずれてしまうリスクもあります。
希望の設立日がある場合は、配達日数を確認し、余裕をもって発送手続きを行いましょう。
送付する際は、追跡が可能な書留郵便(一般書留または簡易書留)を利用するのが一般的です。

希望の日を会社設立日にするための戦略

「この日を設立日にしたい」という強い希望がある場合、その日が平日であれば、計画的に手続きを進めることで実現可能です。

特に、縁起の良い日や記念日を設立日にしたいと考える経営者は少なくありません。

六曜(大安など)を会社設立日にする方法

事業の門出として、大安や一粒万倍日、天赦日といった縁起の良い日(吉日)を会社設立日に選ぶケースは非常に多いです。
希望する吉日が平日の場合は、その日を狙って登記申請を行いましょう。

  • 窓口申請の場合:希望する吉日の当日に、法務局の窓口で申請します。
  • 郵送申請の場合:希望する吉日の当日に、法務局に書類が到着するように逆算して発送します。
  • オンライン申請の場合:希望する吉日の当日に、法務局が申請データを受理するように申請します(前日の業務時間終了後~当日朝の申請が確実です)。

もし希望する大安などの吉日が土日祝日にあたる場合、残念ながらその日を設立日にすることはできません
その場合は、その前後の最も近い平日(できれば同じく吉日)を設立日として選ぶのが現実的な選択肢となります。

記念日を会社設立日に設定する考え方

創業者自身の誕生日や結婚記念日、事業のアイデアを思いついた日など、個人的な記念日を会社設立日にしたいというニーズもあります。
この場合の考え方も、六曜を狙う場合と基本的には同じです。

記念日が平日の場合は、その日をターゲットに登記申請の準備を進めます。
一方、記念日が土日祝日と重なってしまう場合は、その日を設立日にすることは不可能です
その場合でも、会社の歴史として「創業記念日」をその日に設定し、登記上の「会社設立日」とは別に大切にするという方法があります。
会社のウェブサイトやパンフレットの沿革に「〇年〇月〇日(記念日)に創業、〇年〇月〇日(平日)に株式会社〇〇を設立」と記載することで、その想いを形に残すことができます。

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会社設立日を決める際のその他の注意-点

会社設立日は、法務局の開庁日である平日にしか設定できないという大原則があります。

しかし、設立日をいつにするか決める際には、登記申請日以外にも考慮すべき重要な日付や手続きが存在します。

特に「資本金の払込み」と「事業に必要な許認可」の2点は、設立手続き全体の日程に大きく影響するため、事前にしっかり確認しておきましょう。

資本金の払込証明書の日付

会社を設立するには、定款で定めた資本金が発起人によって確實に払い込まれたことを証明する「払込証明書」が必要です。

この払込証明書に記載される日付には、法律上のルールがあります。

具体的には、資本金の払込証明書の日付は、登記申請日よりも前の日付でなければなりません。

正確には、定款作成日以降で、かつ登記申請日以前(同日も可)の日付である必要があります。

もし登記申請日よりも後の日付で資本金を払い込んでしまうと、その払込みは無効とみなされ、登記申請が受理されませんので最大限の注意が必要です。

資本金の払込み自体は、銀行のATMやインターネットバンキングを利用すれば土・日・祝日でも可能です。

例えば、月曜日に登記申請を予定している場合、その前の土曜日や日曜日に資本金を振り込んでも問題ありません。

通帳のコピーや取引明細にはその日付が記録されるため、それが払込みがあった日となります。

重要なのは、その日付が登記申請日より前になっていることです。

許認可が必要な事業の場合

飲食店の営業許可や建設業許可のように、事業内容によっては、会社を設立した後に、管轄の行政庁から「許認可」を取得しなければ事業を開始できない場合があります。

この許認可の取得が、会社設立日の決定やその後のスケジュールに影響を及ぼすことがあります。

多くの許認可は、会社の設立後(登記完了後)に、登記事項証明書(登記簿謄本)を添付して申請手続きを行います。

そのため、会社設立日(登記申請日)から実際に事業を開始できるまでには、許認可の審査期間を含めたタイムラグが発生することを念頭に置いておく必要があります。

また、許認可を取得する際には、定款の「事業目的」に、許認可の対象となる事業内容が正確に記載されていることが絶対条件です。

さらに、許認可によっては最低資本金額や役員の資格要件などが定められているケースもあります。

これらの要件を満たしていないと、せっかく会社を設立しても許認可が下りず、事業を始められないという事態に陥りかねません。

会社設立前に、ご自身の事業に必要な許認可の要件を必ず確認し、定款の事業目的や資本金額などを適切に設定しましょう。

許認可が必要な事業の例設立時に特に注意すべき点
建設業事業目的に「建設工事業」などの具体的な業種を記載。経営業務の管理責任者や専任技術者の設置、財産的基礎(500万円以上の自己資本など)の要件を確認。
宅地建物取引業事業目的に「宅地建物取引業」と明記。事務所の設置要件や、専任の宅地建物取引士の設置が必要。
飲食店営業事業目的に「飲食店の経営」などと記載。店舗ごとに食品衛生責任者の設置や、施設の基準を満たす必要がある。
古物商事業目的に「古物営業法に基づく古物商」などと明記。役員の欠格事由に注意が必要。営業所を管轄する警察署へ申請。
一般労働者派遣事業事業目的に「労働者派遣事業」と記載。財産的基礎(資産総額2,000万円以上など)や事務所の面積要件など、厳しい基準が設けられている。

これらの許認可はあくまで一例です。

ご自身の事業に関連する許認可の詳細は、必ず管轄の行政庁や行政書士などの専門家にご確認ください。

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会社設立の手続きは専門家への相談も検討

ここまで解説してきたように、会社設立の手続きは法務局の開庁日に合わせる必要があり、必要書類の準備も複雑です。

特に、希望の設立日に向けてスケジュールを逆算し、ミスなく手続きを進めることには多大な労力がかかります。

もし手続きに不安を感じたり、本業の準備に集中したいと考えたりする場合には、会社設立の専門家に相談・依頼することも有効な選択肢です。

会社設立をサポートする主な専門家

会社設立は、司法書士、行政書士、税理士といった専門家がサポートしてくれます。

それぞれの専門家で対応できる業務範囲が異なるため、自分のニーズに合わせて相談先を選ぶことが重要です。

特に、登記申請の代理は司法書士の独占業務と定められています。

専門家の種類主な役割と依頼できる内容
司法書士登記申請手続きの専門家です。定款作成から登記申請の代理まで、会社設立に関する一連の法的手続きをワンストップで依頼できます。最も中心的な役割を担います。
行政書士官公署に提出する書類作成の専門家です。定款の作成や、事業に必要な許認可(建設業許可、飲食店営業許可など)の申請代理を依頼できます。
ただし、登記申請の代理は行えません。
税理士税務・会計の専門家です。
設立後の税務顧問契約を前提に、会社設立手続きを提携司法書士と連携してサポートしてくれる場合があります。
資本金の額や役員報酬など、税務面からのアドバイスが期待できます。

専門家に依頼するメリットとデメリット

専門家に会社設立を依頼することには、時間や手間を削減できる大きなメリットがある一方、当然ながら費用が発生するというデメリットも存在します。

両者を比較検討し、自分にとって最適な方法を選択しましょう。

項目詳細
メリット時間の節約: 煩雑な書類作成や法務局とのやり取りを任せられるため、事業の準備に集中できます。
正確性と確実性: 書類の不備による手続きの遅延リスクを回避し、希望の設立日に向けてスムーズに登記を完了できます。
コスト削減の可能性: 専門家が電子定款を作成することで、通常必要な収入印紙代4万円が不要になります。
有益なアドバイス: 資本金の額、事業目的の記載方法、役員構成など、将来を見据えた専門的な助言を受けられます。
デメリット費用の発生: 専門家への報酬(手数料)が別途必要になります。報酬額は依頼する専門家や業務範囲によって異なります。

専門家選びのポイントと費用の目安

専門家に依頼すると決めた場合、どの専門家に依頼するかが重要になります。

以下のポイントを参考に、信頼できるパートナーを見つけましょう。

会社設立の実績が豊富か

会社設立手続きに関する知識と経験が豊富な専門家を選びましょう。
事務所のウェブサイトなどで、これまでの設立実績数や得意な業種などを確認するのがおすすめです。

料金体系が明確か

どこまでのサービスが料金に含まれているのか、追加料金が発生するケースはあるのかなど、事前に料金体系をしっかりと確認することが不可欠です。
「会社設立手数料0円」と謳っていても、設立後の顧問契約が必須条件となっている場合もあるため注意が必要です。

コミュニケーションの取りやすさ

設立手続き中はもちろん、設立後も相談する可能性があるため、質問しやすく、丁寧に対応してくれる専門家を選びましょう。
無料相談などを活用し、実際に話してみて相性を確かめることも大切です。

費用の目安

専門家へ支払う報酬は、依頼する業務範囲によって大きく変動しますが、一般的には5万円~15万円程度が目安となります。
この報酬に加えて、株式会社の場合は登録免許税(最低15万円)や定款認証手数料(約5万円)などの実費がかかります。
多くの専門家は電子定款に対応しているため、依頼することで印紙代4万円を節約でき、結果的に自分で手続きするより総費用を抑えられるケースも少なくありません

起業マニュアル

この記事を読むことで、会社設立の手順を体系的に理解し、スムーズに起業の道を進むための主要なステップと重要なポイントを把握…

まとめ

本記事では、会社設立日を土・日にできない理由と代替案を解説しました。

結論として、会社設立日は登記申請日となり、申請先である法務局が土・日・祝日に閉庁しているため、これらの曜日を設立日にすることはできません。

オンライン申請や郵送を活用すれば、平日に法務局へ行かずに手続きを進めることは可能です。

大安や記念日など希望の日を設立日にしたい場合は、その日が平日になるよう計画的に準備を進めることが重要です。

手続きに不安があれば、司法書士などの専門家に相談することも有効な選択肢となります。

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