一般社団法人を自分で設立したいけれど、手続きや費用に不安を感じていませんか?
この記事では、自分で設立するメリット・デメリット、必要な費用、具体的な手続きの流れから必要書類までを徹底解説します。
結論として、正しい手順と注意点さえ押さえれば、専門家に頼らずとも費用を大幅に抑えて確実な設立が可能です。
失敗しがちな定款作成や登記申請のポイントも網羅しているため、この記事を読むだけで迷わずスムーズに法人設立を完了させることができます。
1. 一般社団法人を自分で設立するメリットとデメリット
一般社団法人を設立する際、専門家に手続きを代行してもらう方法と、すべての手続きを自分自身で行う方法の2通りがあります。
自分で設立手続きを行う最大の魅力はコストを最小限に抑えられる点にありますが、一方で専門的な書類作成や役所への往復など、相応の時間と労力を伴うという側面もあります。
ここでは、自分で一般社団法人を設立するメリットとデメリットを客観的に比較し、どちらの方法が適しているかを判断するための基準を解説します。
1.1 自分で設立する最大のメリットは費用を抑えられること
自分で一般社団法人を設立する最大のメリットは、行政書士や司法書士などの専門家に支払う報酬(代行費用)を完全に浮かせられることです。
一般社団法人の設立には、公証役場での定款認証手数料や法務局での登録免許税といった「法定費用(実費)」が必ず発生しますが、自分で行えばこれ以外の余計な出費は発生しません。
また、手続きを自ら進めることで、法人の仕組みや定款の内容、設立後の運営に必要な法律知識を深く理解できるという副次的なメリットもあります。
将来的に事業内容を変更したり、役員を変更したりする際にも、設立時の経験が役立ちます。
| 比較項目 | 自分で設立する場合 | 専門家に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 専門家への報酬 | 0円 | 約5万円〜15万円(相場) |
| 設立手続きの知識 | 一から自分で学ぶ必要がある | 専門家に任せるため不要 |
| 手続きにかかる時間 | 調べる時間や書類作成に多くの時間がかかる | 最小限の手間でスピーディーに完了する |
1.2 自分で手続きを行う場合のデメリットと注意点
一方で、自分で設立手続きを行う場合には、いくつかのデメリットや注意点が存在します。
最も大きなデメリットは、膨大な時間と労力がかかることです。
一般社団法人の設立には、定款の作成、公証役場での認証、法務局への登記申請など、専門的な知識を要するステップがいくつもあります。
法律の専門用語を理解し、不備のない書類を作成するだけでも、慣れていない人にとっては大きな負担となります。
さらに、書類に不備があった場合の不利益も考慮しなければなりません。
法務局に提出した書類に間違いがあると、補正(修正)のために何度も法務局へ足を運ぶ必要が生じ、結果として設立日が大幅に遅れてしまうリスクがあります。
また、定款の記載内容に不備があるまま登記が完了してしまうと、後から定款を変更するために追加の登録免許税(実費)や手間が発生し、かえって高くつくケースもあるため注意が必要です。
2. 自分で一般社団法人を設立するために必要な費用

一般社団法人を自分で設立する場合、専門家に依頼する代行手数料が発生しないため、最小限の費用で設立が可能です。
しかし、完全に無料で設立できるわけではなく、国に支払う法定費用や、手続きを進めるうえで避けて通れない実費が必ず発生します。
ここでは、自分で設立する際に必要となる具体的な費用の内訳と、専門家に依頼した場合との比較を詳しく解説します。
2.1 必ず発生する法定費用と実費の内訳
一般社団法人を設立する際には、公証役場や法務局に対して支払う法定費用として約11万2,000円が必ず発生します。
株式会社の設立とは異なり、一般社団法人の場合は紙の定款であっても収入印紙代(4万円)が非課税となるため、電子定款を作成しない場合でも印紙代はかかりません。
具体的な法定費用と、設立にともない必要となる実費の内訳は以下の通りです。
| 費用の項目 | 金額の目安 | 支払先・用途 |
|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 50,000円 | 公証役場(定款の認証を受けるための手数料) |
| 定款の謄本手数料 | 約2,000円 | 公証役場(提出用と保存用の謄本交付代、1枚250円) |
| 登録免許税 | 60,000円 | 法務局(設立登記を申請する際に納める税金) |
| 法人実印の作成費用 | 約3,000円〜20,000円 | 印鑑販売店(法務局に登録する代表者印の作成代) |
| 個人の印鑑証明書取得費用 | 約300円〜600円 | 市区町村役場(設立時社員や理事の証明書、通数分) |
| 登記事項証明書の取得費用 | 1通につき480円〜600円 | 法務局(設立後に法人口座開設などで必要となる謄本) |
法定費用である定款認証手数料の5万円と登録免許税の6万円、さらに定款の謄本手数料を合わせると、最低でも11万2,000円前後の現金を用意しておく必要があります。
これに加えて、法人の実印作成代や各種証明書の取得費用が実費として加算されます。
法人実印は、材質や印影のデザインによって価格が大きく異なりますが、今後の法人運営で使用し続けるものであるため、耐久性の高いものを選ぶのが一般的です。
2.2 専門家に依頼する場合と自分で設立する場合の費用比較
一般社団法人の設立手続きを、行政書士や司法書士などの専門家に依頼する場合と、すべて自分で行う場合では、総額でどの程度の差が生じるのでしょうか。
専門家に依頼した場合は、法定費用に加えて「業務報酬(代行手数料)」が発生します。
それぞれの費用総額の差を比較表にまとめました。
| 比較項目 | 自分で設立する場合 | 専門家に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 法定費用(共通) | 約112,000円 | 約112,000円 |
| 専門家への報酬(手数料) | 0円 | 約50,000円〜150,000円 |
| 実費(印鑑作成・証明書等) | 約5,000円〜20,000円 | 約5,000円〜20,000円 |
| 費用の合計目安 | 約117,000円〜132,000円 | 約167,000円〜282,000円 |
専門家に依頼する場合、手続きの負担は大幅に軽減されますが、自分で設立する場合と比較して約5万円から15万円以上の追加費用がかかります。
予算を極力抑えてスモールスタートを切りたい場合や、設立初期の運転資金を多く残しておきたい場合は、自分で手続きを行うことで大きなコスト削減メリットを享受できます。
3. 一般社団法人を自分で設立する手順と全体の流れ

一般社団法人を自分で設立するためには、法律で定められた一連の手続きを正しい順番で進める必要があります。
手続きは大まかに「事前準備」「定款の作成と認証」「設立登記の申請」の3つのステップに分かれます。
それぞれのステップで必要となる具体的な作業と、スムーズに進めるためのポイントを詳しく解説します。
3.1 ステップ1 事前準備と基本事項の決定
まずは、法人を設立するための骨組みとなる基本事項を決定します。
一般社団法人は、営利を目的としない「非営利法人」ですが、収益事業を行うことも可能です。
どのような活動を行うのか、誰が運営するのかを明確にすることから始めます。
3.1.1 設立メンバー(社員と役員)の決定
一般社団法人を設立するには、最低2名以上の「社員」が必要です。
ここでの社員とは、一般的な従業員のことではなく、総会で議決権を持つ「設立発起人」のような存在を指します。
個人だけでなく、法人も社員になることができます。
また、法人の業務を執行する役員として、最低1名以上の「理事」を置く必要があります。社員が理事を兼任することも可能なため、最小構成としては「2名の社員(うち1名が理事を兼任)」という形であれば、実質2名だけで法人を設立できます。
3.1.2 基本事項の決定
定款(ていかん)に記載する法人の基本情報を決定します。
決定すべき主な項目と、それぞれのポイントは以下の通りです。
| 決定すべき項目 | 決定のポイントと注意点 |
|---|---|
| 法人の名称(商号) | 名称の中に必ず「一般社団法人」という文字を入れなければなりません。前につけても後ろにつけても構いません。また、同一住所に同じ名称の法人が存在しないか、事前に法務局で類似商号の確認を行うと安全です。 |
| 主たる事務所の所在地 | 法人の本店所在地となる住所です。自宅や賃貸オフィス、レンタルオフィスなどを指定できます。賃貸の場合は、契約上、法人登記が可能であるか事前に大家や管理会社に確認が必要です。 |
| 事業目的 | 法人がどのような事業を行うのかを具体的に定めます。営利目的ではないものの、事業内容自体に制限はありません。ただし、許認可が必要な事業を行う場合は、関連する法律に合致した文言にする必要があります。 |
| 事業年度(決算期) | 法人の会計区分の区切りとなる期間です。毎年1回、決算を行います。繁忙期を避けた月を決算月に設定するのが一般的です。 |
| 公告の方法 | 法人の決算などを一般に公表する方法です。「官報に掲載する方法」「日刊新聞紙に掲載する方法」「電子公告(ホームページなど)」から選択します。費用を最も抑えられるのは官報への掲載です。 |
3.2 ステップ2 定款の作成と公証役場での定款認証
基本事項が決まったら、法人の憲法とも呼ばれる「定款」を作成し、公証役場でその内容が適法であることの証明(認証)を受けます。
定款認証を受けなければ、次のステップである登記申請に進むことができません。
3.2.1 定款の作成
定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があります。
目的、名称、主たる事務所の所在地、設立時社員の氏名または名称および住所、社員の資格の得喪に関する規定、公告方法、事業年度がこれに該当します。
これらが1つでも欠けていると、定款は無効となってしまいます。
なお、株式会社の設立では、紙の定款を作成すると4万円の収入印紙代が必要になりますが、一般社団法人の定款は印紙税法上の非課税文書となるため、紙で作成しても収入印紙代はかかりません。
そのため、無理に電子定款を作成する必要はなく、紙の定款で手続きを進めても費用面のデメリットはありません。
3.2.2 公証役場での事前確認と認証手続き
定款の草案が完成したら、主たる事務所の所在地がある都道府県内の公証役場へ連絡し、公証人による事前確認を受けます。
事前にFAXやメールで定款を送付し、修正点がないかチェックしてもらうことで、当日のトラブルを防ぐことができます。
事前確認で問題がなければ、公証役場へ行く日時を予約します。
当日は、設立時社員が公証役場に赴き、定款の認証を受けます。
この際、公証人に支払う定款認証手数料として5万円が必要となります。認証が完了すると、謄本が交付されます。
3.3 ステップ3 法務局への設立登記申請
定款認証が完了したら、最後に法務局へ設立登記の申請を行います。
登記申請を行った日が、法人の正式な「設立日」となります。
希望する設立日がある場合は、その日に法務局の窓口へ申請書を提出するか、オンライン申請を完了させる必要があります。
3.3.1 登記申請書類の作成と登録免許税の準備
法務局に提出する「設立登記申請書」を作成します。
申請書には、登録免許税を納付するための収入印紙を貼り付ける台紙を添付します。
一般社団法人の設立登記にかかる登録免許税は一律6万円です。
この登録免許税分の収入印紙を法務局または郵便局で購入し、台紙に貼付します。
3.3.2 法務局への申請手続き
申請書類一式と、ステップ2で取得した認証済みの定款、役員の就任承諾書、印鑑証明書などを揃えて、主たる事務所を管轄する法務局に提出します。
申請方法には以下の3つの方法があります。
- 窓口への持参:法務局の受付窓口に直接書類を提出します。書類に不備がないかその場で簡易的な確認をしてもらえるため、最も確実な方法です。
- 郵送での申請:遠方の法務局である場合や、平日に時間が取れない場合に便利です。書留郵便など、追跡可能な方法で送付します。消印日ではなく、法務局に書類が到着した日が設立日となります。
- オンライン申請:「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、自宅やオフィスからインターネット経由で申請します。電子署名などの環境設定が必要となります。
3.3.3 登記完了と証明書の取得
法務局に申請書類を提出した後、通常は1週間から10日程度で登記が完了します。
法務局から完了の連絡は原則として来ないため、事前に確認した「登記完了予定日」以降に法務局へ赴くか、電話等で確認を行います。
登記が問題なく完了していれば、法人の「登記事項証明書(登記簿謄本)」や「印鑑証明書」が取得できるようになります。
これらの書類は、法人の銀行口座開設や税務署への届出、各種契約の際に必要となるため、あらかじめ複数部取得しておくことをおすすめします。
これで、自分で進める一般社団法人の設立手続きはすべて完了となります。
4. 自分で一般社団法人を設立する際の必要書類一覧

一般社団法人を自分で設立するためには、多くの書類を正確に準備する必要があります。
手続きは大きく分けて「公証役場での定款認証」と「法務局での設立登記申請」の2つのフェーズに分かれており、それぞれ提出する書類が異なります。
書類に不備があると、公証役場や法務局に何度も足を運ぶことになり、設立完了までに余計な時間と手間がかかってしまいます。
スムーズに手続きを進めるために、必要な書類とその詳細をしっかりと把握しておきましょう。
4.1 定款認証の段階で必要となる書類
一般社団法人を設立する際、最初に行う重要な手続きが「定款(ていかん)の認証」です。
定款とは法人の根本規則を定めたもので、公証役場の公証人に認証してもらうことで法的効力を持ちます。
定款認証の段階で必要となる書類と持ち物は以下の通りです。
| 必要書類・持ち物 | 必要部数 | 取得先・作成者 | 注意点・備考 |
|---|---|---|---|
| 定款 | 3通 | 設立時社員が作成 | 電子定款の場合はCD-Rなどの媒体に保存して持参 |
| 設立時社員の印鑑証明書 | 各1通 | 市区町村役所 | 発行後3ヶ月以内のもの。設立時社員全員分が必要 |
| 実質的支配者となるべき者の申告書 | 1通 | 設立時社員が作成 | 暴力団排除条項等に関連し、法人の実質的支配者を申告する書面 |
| 委任状 | 1通 | 設立時社員が作成 | 設立時社員全員で公証役場に行けない場合、代理人に委任するために必要 |
| 公証役場へ行く人の本人確認書類 | 提示用 | 運転免許証やマイナンバーカードなど | 代理人が行く場合は、代理人の身分証明書と認印が必要 |
4.1.1 定款(ていかん)
定款は、法人の名称、目的、事業内容、主たる事務所の所在地、社員に関する規定などを定めた「会社の憲法」にあたる最重要書類です。
紙の定款で認証を受ける場合は同じものを3通(公証役場保管用、法人保管原本用、登記申請の謄本用)用意します。
自分で作成する場合、紙ではなくPDF化して電子定款にすることで、印紙税4万円を節約することが可能ですが、専用の機器やソフトウェアが必要となります。
4.1.2 設立時社員の印鑑証明書
定款を作成した設立時社員(法人の創立メンバー)の実印が、市区町村に正しく登録されていることを証明するために提出します。
一般社団法人は最低2名以上の社員が必要となるため、設立時社員全員分の印鑑証明書がそれぞれ1通ずつ必要です。
必ず公証役場に提出する日を基準として、発行から3ヶ月以内のものを用意してください。
4.1.3 実質的支配者となるべき者の申告書
法人の透明性を確保し、マネーロンダリングや組織犯罪を防止する目的で、平成30年より提出が義務付けられました。
一般社団法人における「実質的支配者」とは、法人の事業活動に支配的な影響力を有する個人のことであり、基本的には設立時理事や、意思決定に大きな影響力を持つ人物が該当します。
公証役場のホームページ等からフォーマットをダウンロードして作成します。
4.1.4 その他必要な書類(委任状、本人確認書類など)
設立時社員全員が揃って公証役場に行けない場合は、窓口に行く人(代理人)への「委任状」が必要です。
委任状には、行けない設立時社員の実印を押印します。
また、当日窓口で手続きを行う人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)と認印も忘れずに持参しましょう。
4.2 設立登記の段階で法務局に提出する書類
公証役場で定款の認証が完了したら、次に法務局へ「設立登記申請」を行います。
この申請が受理された日が「法人の設立日」となります。
法務局に提出する書類は多岐にわたり、法人の設計(理事会の有無など)によって必要書類が変化するため、入念な確認が必要です。
| 必要書類 | 必要部数 | 作成者・用意する人 | 注意点・備考 |
|---|---|---|---|
| 一般社団法人設立登記申請書 | 1通 | 設立時代表理事 | 法務局の様式に沿って作成。契印(割印)が必要 |
| 登録免許税の納付用台紙 | 1通 | 設立時代表理事 | 6万円分の登録免許税(収入印紙)を貼付する用紙 |
| 定款(認証済みのもの) | 1通 | 公証役場から取得 | 公証人の認証を受けた定款の謄本(電子定款の場合はCD-R等) |
| 設立時理事等の就任承諾書 | 各1通 | 設立時理事・監事 | 役職への就任を承諾したことを証明する書面 |
| 設立時理事等の印鑑証明書 | 各1通 | 設立時理事・監事 | 市区町村役所で取得。発行後3ヶ月以内のもの |
| 設立時代表理事を選定したことを証する書面 | 1通 | 設立時理事 | 定款で直接代表理事を定めていない場合に必要 |
| 主たる事務所の所在場所決定書 | 1通 | 設立時理事 | 定款に詳細な番地まで記載していない場合に必要 |
| 法人実印の印鑑届出書 | 1通 | 設立時代表理事 | 法人の実印(代表者印)を法務局に登録するための書類 |
4.2.1 一般社団法人設立登記申請書
法務局に設立登記を申請するためのメインとなる書類です。
法務局のウェブサイトからテンプレートをダウンロードして作成できます。
法人の名称、主たる事務所の所在地、登録免許税の額などを正確に記載します。
複数枚にわたる場合は、ページの継ぎ目に法人の代表者印(実印)で契印(割印)を捺す必要があります。
4.2.2 登録免許税の納付用台紙
一般社団法人の設立登記には、登録免許税として一律6万円がかかります。
この6万円分の収入印紙を貼り付けるためのA4サイズの白紙(または申請書の次のページ)を用意します。
収入印紙は郵便局や法務局内の売り場で購入できますが、貼り付けた印紙に消印(割印)をしてはいけないルールになっているため注意してください。
4.2.3 定款(公証人の認証を受けたもの)
公証役場で認証手続きを終えた定款の謄本を提出します。
電子定款で認証を受けた場合は、公証人から受け取った電磁的記録媒体(CD-Rなど)をそのまま法務局へ提出するか、オンライン申請の場合はその電子データを添付します。
4.2.4 設立時理事等の就任承諾書および印鑑証明書
設立時に役員となる人(理事や監事)が、その就任を承諾したことを証明する「就任承諾書」を作成します。
また、就任する役員の本人確認および意思確認のため、印鑑証明書も併せて提出します。
なお、理事会を設置しない一般社団法人の場合は、設立時理事全員の印鑑証明書が必要となります。
理事会を設置する場合は、代表理事のみ印鑑証明書が必要となり、他の理事は住民票等の本人確認書類で足りるケースもありますが、自分で手続きを行う場合は確実性を期すために全員分の印鑑証明書を用意しておくのが無難です。
4.2.5 設立時代表理事を選定したことを証する書面
一般社団法人の代表者である「代表理事」を誰にするかを決定した証明書です。
定款の中で直接「設立時代表理事は〇〇とする」と定めている場合はこの書類は不要ですが、定款で定めていない場合は、設立時理事の互選(話し合い)によって決定したことを示す「設立時代表理事選定決議書(または互選書)」を作成し、理事全員の署名・捺印をして提出します。
4.2.6 主たる事務所の所在場所決定書
定款に記載する本店の所在地を「当法人は、主たる事務所を東京都新宿区に置く」のように市区町村までしか記載していない場合(最小行政区画までの記載に留めている場合)に必要となります。
具体的な番地やビル名、部屋番号までを決定したことを証明するために、設立時理事の過半数の合意をもって作成する「主たる事務所所在場所決定書」を提出します。
4.2.7 法人実印の印鑑届出書
設立登記申請と同時に、新しく作成した法人の実印(代表者印)を法務局に登録するための書類です。
これにより、法人の印鑑証明書を発行できるようになります。
この届出書には、法人実印だけでなく、代表理事個人の実印の押印と、個人の印鑑証明書の添付も必要となります。
登記申請書に添付する印鑑証明書とは別に、もう1通個人の印鑑証明書が必要になる場合があるため、事前に必要部数を多めに取得しておくと安心です。
5. 一般社団法人を自分で設立する際によくある失敗と対策

一般社団法人の設立手続きを自分で行う場合、専門家へ支払う代行報酬を節約できる一方で、法的な知識不足や書類の確認不足による思わぬトラブルや手続きの遅延が発生しやすいというリスクがあります。
特に初めて設立登記を行う方が陥りやすい失敗パターンと、それを防ぐための具体的な対策を解説します。
5.1 定款の目的や事業内容の書き方で躓くケース
定款に記載する「目的(事業内容)」は、法人がどのような活動を行うかを外部に示す極めて重要な項目です。
自分で定款を作成する際、この目的の表現方法や設計で躓くケースが多発しています。
5.1.1 非営利型の要件を満たさない文面にしてしまう
一般社団法人には「非営利型」と「非営利型以外の法人(普通法人)」の2種類があります。
税制上の優遇措置を受けられる「非営利型一般社団法人」を目指す場合、定款に特定の規定(剰余金の分配を行わないこと、解散時の残余財産を国や特定の公益法人等に帰属させることなど)を厳格に記載しなければなりません。
この要件を理解せずに定款を作成・認証してしまうと、税務署から非営利型として認められず、課税対象が広がってしまうという失敗が生じます。
5.1.2 目的の表現が抽象的すぎる、または具体的すぎる
事業目的は、公証役場での定款認証や法務局での登記審査において、その適法性や明確性が厳しく審査されます。
例えば、「社会貢献活動」といった抽象的すぎる表現では審査に通りません。
逆に、現在の活動内容だけに絞って細かく書きすぎると、将来新しい事業を始めるたびに「定款変更手続き(登録免許税3万円と手間がかかる)」が必要になります。
| 項目 | 失敗しやすい例 | 適切な改善策(対策) |
|---|---|---|
| 表現の具体性 | 「ITに関する事業」など、範囲が広すぎて何をするのか不明確。 | 「IT技術を活用した地域活性化支援事業」「高齢者向けパソコン教室の運営」など、具体的な事業内容を記載する。 |
| 将来の事業展開 | 現在の活動(例:セミナー開催)のみを記載し、将来予定している物販や相談業務を記載していない。 | 将来行う可能性のある事業もあらかじめ盛り込んでおき、最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」と記載して柔軟性を持たせる。 |
| 非営利性の担保 | 剰余金の分配や残余財産の帰属先に関する規定を定款に記載し忘れる。 | 非営利型法人の要件に合致するよう、定款の雛形を慎重に確認し、剰余金分配禁止条項などを正確に盛り込む。 |
5.2 印鑑の作成や書類の押印ミスによる修正の手間
設立手続きの最終段階である法務局への登記申請では、書類の不備や押印ミスによる「補正(修正手続き)」が非常に多く発生します。
自分で手続きを行う場合、これらのミスによって何度も役所へ足を運ぶ羽目になり、設立日が予定より遅れてしまう原因になります。
5.2.1 法人実印(代表者印)のサイズや規格の誤り
登記申請時には、法務局に法人の実印を登録(印鑑届出)する必要があります。
この印鑑のサイズは「辺の長さが10ミリメートルを超え、30ミリメートル以内の正方形に収まるもの」と法律で定められています。
この規格外の印鑑を作成してしまうと、法務局で受理されず、印鑑を作り直さなければならなくなります。
必ず「法人登記用」として規格に適合した印鑑を印鑑業者に発注しましょう。
5.2.2 押印漏れ・割印(契印)のミス
設立登記申請書や定款、就任承諾書など、提出書類には「個人の実印」「法人の実印」をそれぞれ適切な箇所に押印する必要があります。
特に、複数ページにわたる書類の継ぎ目に押す「契印(割印)」の漏れや、実印を押すべき場所に認印を押してしまうミスが多発します。
また、万が一の誤記に備えて、書類の余白に「捨印」を押しておくことで、軽微な修正であれば法務局の窓口でその場で対応できるようになります。
捨印がない場合、一度書類を持ち帰って押し直す必要があるため、事前の対策が欠かせません。
6. まとめ:準備を徹底してスムーズに一般社団法人を設立しよう
一般社団法人を自分で設立する最大のメリットは、専門家への代行報酬を節約し、約11万円の法定費用のみで費用を大幅に抑えられる点です。
しかし、専門知識が必要な定款作成や法務局での手続きをすべて自力で行うため、書類の不備や修正によるタイムロスが発生しやすいというデメリットもあります。
自分で手続きを成功させるためには、事前の念入りな準備と、事業目的の書き方や押印などの細部への確認が重要です。
本記事で解説した流れと必要書類を参考に、確実な設立手続きを進めてください。
