【NG例あり】知らないと損する事業目的の書き方|会社設立のプロが教える適法な記載ルール

会社の設立準備で、事業目的の書き方にお悩みではありませんか。

事業目的は定款の必須事項であり、会社の信用度や銀行融資にも影響するため、書き方を間違えると後で大きな後悔につながりかねません。

本記事では、会社設立のプロが、事業目的の書き方で押さえるべき6つの基本ルールを、具体的なNG例や業種別の文例を交えながら徹底解説します。

この記事を読めば、法的に正しく、将来の事業展開も見据えた最適な事業目的が誰でも簡単に作成できるようになり、スムーズな会社設立を実現できます。

事業目的とは 会社設立でなぜ重要なのか

会社の設立準備を進める中で、必ず向き合うことになるのが「事業目的」の決定です。

事業目的とは、その会社が「どのような事業を行って利益を上げるのか」を具体的に明文化したもので、会社の根幹を定義する重要な要素です。

単に「何をするか」を決めるだけでなく、会社の法的存在意義や社会的信用を支える土台となります。

この章では、なぜ事業目的が会社設立において極めて重要なのか、その理由を2つの側面から詳しく解説します。

定款に必ず記載する会社の基本情報

会社を設立する際には、「定款(ていかん)」を作成し、公証役場で認証を受ける必要があります。

定款は「会社の憲法」とも呼ばれる会社の基本ルールを定めた書類であり、事業目的はこの定款に必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」の一つです。

絶対的記載事項とは、その名の通り、記載が一つでも欠けていると定款自体が無効となり、会社の設立が認められない最重要項目を指します。

つまり、事業目的を定めなければ、会社を設立することすらできないのです。

事業目的は、これから立ち上げる会社が社会においてどのような役割を担い、どのような活動を行うのかを公式に示す、いわば「会社の戸籍」のような役割を果たします。

定款の記載事項の種類内容記載がない場合の影響
絶対的記載事項事業目的、商号、本店所在地など、必ず記載しなければならない事項。定款そのものが無効になる。
相対的記載事項役員の任期や株式の譲渡制限など、記載して初めて効力が生じる事項。定款は有効だが、その事項の効力は認められない。
任意的記載事項事業年度や役員の員数など、法律に反しない範囲で任意に記載できる事項。定款の有効性や効力に影響はない。

このように、事業目的は会社の存在を法的に定義づけるための出発点であり、その後の会社運営のすべての活動は、この事業目的の範囲内で行われることが原則となります。

会社の信用度や融資審査にも影響する

事業目的は、社内的なルールであると同時に、金融機関や取引先といった第三者があなたの会社を評価するための重要な判断材料にもなります。

事業目的の記載内容は、会社の対外的な信用度に直結するのです。

特に重要なのが、金融機関からの融資審査への影響です。

日本政策金融公庫や銀行などから融資を受ける際、担当者は提出された事業計画書と、会社の登記情報(登記事項証明書)に記載された事業目的を必ず照合します。

もし、融資を受けたい事業が事業目的に記載されていなければ、「定款にない事業への融資はできない」と判断され、審査で不利になったり、融資を断られたりする可能性が非常に高くなります。

また、新たな取引先と契約を結ぶ際にも、相手企業があなたの会社の登記情報を確認することは珍しくありません。

事業目的が曖昧であったり、これから行おうとする取引内容が事業目的に含まれていなかったりすると、「この会社は本当にこの事業を専門に行っているのか?」と信頼性に疑問符が付き、ビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

さらに、建設業や飲食業、古物商など、特定の事業を始めるために行政の「許認可」が必要な場合があります。

この許認可を申請する際、定款の事業目的に該当する事業が明確に記載されていることが絶対条件となります。

記載がなければ、許認可の申請手続き自体を進めることができません。

このように、事業目的は単なる形式的な手続きではなく、資金調達、取引、事業展開といった、会社の成長に不可欠なあらゆる場面でその真価が問われる、極めて戦略的な項目なのです。

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事業目的の書き方で押さえるべき6つの基本ルール

会社の事業目的を定める際には、守るべき重要なルールが存在します。

これらは、単に定款を作成するためだけでなく、会社の将来の事業展開や社会的信用にも関わる基本的な決まりごとです。

登記申請をスムーズに進め、将来的なトラブルを避けるためにも、以下の6つの基本ルールを必ず押さえておきましょう。

ルール1 適法性 法律に違反していないこと

事業目的の最も基本的な大前提は「適法性」です。会社の事業内容は、会社法や民法をはじめとする各種法律、そして公序良俗に反するものであってはなりません。

法律や公序良俗に反する事業は、そもそも事業目的として登記することができません。

例えば、「詐欺行為の代行」「武器の密輸」といった犯罪行為はもちろんのこと、「愛人バンクの運営」など社会の倫理観から著しく逸脱する内容も認められません。

法務局の登記官が審査する段階で、違法または不道徳な事業目的と判断されれば、登記申請は却下されます。

ルール2 営利性 利益を追求する事業であること

株式会社や合同会社は、事業を通じて利益を上げ、それを株主や社員に分配することを目的とする「営利法人」です。

そのため、定款に記載する事業目的も営利性を有している必要があります。

「ボランティア活動」「寄付活動」といった非営利活動のみを事業目的とすることは認められません。 

もちろん、企業の社会的責任(CSR)として、事業で得た利益の一部を寄付するなどの活動は問題ありません。

その場合は、「〇〇事業」という営利活動を主軸に据えた上で、付随する目的として記載するのが一般的です。

あくまで会社として利益を追求する姿勢が事業目的から読み取れることが重要です。

ルール3 明確性 第三者が見て理解できること

事業目的は、その会社のことを何も知らない金融機関の担当者、取引先、顧客といった第三者が読んだときに、どのような事業を行っている会社なのかを客観的に理解できるものでなければなりません。
これを「明確性の原則」と呼びます。

専門用語の羅列、一般的でない略語、意味の曖昧な造語などは避けるべきです。

誰が読んでも事業内容を客観的に理解できる、一般的で分かりやすい言葉で記載する必要があります。 

例えば、単に「DX事業」と記載するのではなく、「企業のデジタルトランスフォーメーションに関するコンサルティング」のように、具体的な活動内容がわかるように表現しましょう。

ルール4 具体性 事業内容が具体的にわかること

明確性と関連しますが、事業目的は「具体性」も求められます。「商業」「サービス業」といったあまりに抽象的な表現では、具体的に何を取り扱っているのか全く分かりません。

事業内容が漠然としていると、登記が受理されないだけでなく、金融機関からの融資審査や取引先との契約交渉で不利になる可能性があります。

どのような事業を行うのか、その範囲がある程度特定できるように記載することが大切です。

以下の表を参考に、抽象的な表現を具体的な表現に置き換えてみましょう。

抽象的な表現(NG例)具体的な表現(OK例)
コンサルティング業経営コンサルティング業、ITコンサルティング業
IT事業コンピュータソフトウェアの企画、開発、販売及び保守
物品販売業衣料品、雑貨の輸出入及び販売
代行サービス事務代行、経理代行及び営業代行業務

ルール5 許認可 許認可が必要な事業は記載すること

事業の中には、国や地方公共団体の許認可(許可・認可・届出・登録など)がなければ営業できないものがあります。

例えば、中古品を売買するなら「古物商許可」、飲食店を経営するなら「飲食店営業許可」、建設工事を請け負うなら「建設業許可」が必要です。

これらの許認可が必要な事業を行う場合、定款の事業目的にその事業内容が正確に記載されていなければ、許認可の申請自体ができません。 

行政庁は、定款に目的として掲げられていることを確認した上で許認可の審査を行います。

許認可が必要な事業を始める予定がある場合は、必ずその文言を事業目的に含めてください。

代表的な業種必要な許認可(例)定款記載例
リサイクルショップ、中古車販売古物商許可古物営業法に基づく古物の売買
レストラン、カフェ、居酒屋飲食店営業許可飲食店の経営
不動産仲介・売買宅地建物取引業免許宅地建物取引業
人材派遣労働者派遣事業許可労働者派遣事業
運送業(トラック)一般貨物自動車運送事業経営許可一般貨物自動車運送事業

ルール6 将来性 将来行う可能性のある事業も視野に入れること

会社設立時に記載する事業目的は、現在すぐに行う事業だけに限る必要はありません。

1〜5年後など、近い将来に展開する可能性のある事業もあらかじめ記載しておくことを強く推奨します。

なぜなら、会社設立後に事業目的を追加・変更するには、株主総会での定款変更決議と、法務局への変更登記申請が必要になるからです。

この変更登記には、登録免許税として3万円の費用がかかります。

将来展開する可能性のある事業をあらかじめ記載しておくことで、後々の定款変更手続きの手間と費用(登録免許税3万円)を節約できます。

例えば、Webサイト制作を主軸に起業する場合でも、将来的にはWebマーケティングのコンサルティングや、自社でWebメディアを運営する可能性があるなら、「ウェブサイトの企画、制作及び運営」「インターネットを利用した広告業」「経営コンサルティング業」といった目的も加えておくと良いでしょう。

ただし、あまりにも多くの事業を羅列すると、会社の専門性がぼやけてしまい、かえって信用を損なう場合もあるため、関連性のある事業に絞って10個程度にまとめるのが一般的です。

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【要注意】事業目的の書き方NG例

事業目的の基本ルールを理解しても、実際に書いてみると「この表現で本当に大丈夫だろうか?」と不安になるものです。

ここでは、登記申請の際に法務局で受理されなかったり、後々の事業運営に支障をきたしたりする可能性のある、典型的なNG例を具体的に解説します。

知らずに登記してしまうと、会社の信用低下や融資審査での不利、許認可申請の遅延など、様々なデメリットが生じるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

抽象的すぎて事業内容が不明確なNG例

事業目的の基本ルールである「明確性」と「具体性」に欠ける記載は、最もよくあるNG例の一つです。

第三者、特に金融機関や取引先が登記情報を見たときに、「この会社は一体何をしている会社なのか」が理解できないと、信用を得ることが難しくなります。

漠然とした表現は避け、誰が読んでも事業内容をイメージできる言葉で記載する必要があります。

NG例OK例解説
各種サービス業インターネットを利用した情報提供サービス及び広告代理店業「サービス業」では範囲が広すぎます。
どのような媒体で、どのようなサービスを提供するのかを具体的に示します。
コンサルティング業務中小企業向けの経営戦略及びマーケティングに関するコンサルティング業務「コンサルティング」も多岐にわたります。
「誰に」「何を」コンサルティングするのかを明確にすることで、専門性が伝わります。
商品の販売アパレル製品、服飾雑貨の企画、製造、販売及び輸出入何を販売するのかが不明確です。
取り扱う商材を具体的に記載することで、事業の実態が明らかになります。
クリエイティブ事業ウェブサイト、ウェブコンテンツ及びアプリケーションの企画、デザイン、開発、制作、販売、運営及び管理「クリエイティブ」という言葉は非常に曖昧です。
制作物の種類や業務範囲(企画、開発、運営など)を具体的に列挙します。

公序良俗に反する事業を記載したNG例

会社の事業は、「適法性」と「営利性」を満たす必要があります。

当然ながら、法律に違反する事業や、社会の一般的な道徳観念に反する(公序良俗に反する)事業を目的として記載することはできません。

このような目的が記載された定款は、公証役場での認証や法務局での登記申請が確実に却下されます。

NG例解説
詐欺行為の代行及びコンサルティング明確な犯罪行為であり、事業として成立しません。
無許可での賭博場の経営日本の法律で禁止されている賭博行為は事業目的にはできません。
私怨の復讐代行サービス犯罪を助長する可能性があり、公序良俗に反するため認められません。

上記は極端な例ですが、事業内容が少しでも違法行為や非道徳的な行為に関わる可能性があると判断された場合、登記官から修正を求められることがあります。

許認可が必要な事業の記載漏れによるNG例

特定の事業を始めるには、国や都道府県などから「許認可」を得る必要があります。

その際、定款の事業目的に、許認可の要件を満たすための適切な文言が記載されていなければ、許認可の申請自体が受理されません。

後から事業目的を追加するには、株主総会の決議や登記変更手続きが必要となり、時間と費用(登録免許税3万円)がかかってしまいます。

事業の種類NG例OK例解説
中古品の売買(古物商)リサイクル品の販売古物営業法に基づく古物の売買及び委託販売古物商許可の申請には、「古物営業法に基づく」といった文言や「古物」という単語が含まれていることが望ましいです。
飲食店食事の提供飲食店の経営保健所から飲食店営業許可を得るには、事業目的として「飲食店の経営」という明確な記載が必要です。
人材紹介キャリア相談労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業
職業安定法に基づく有料職業紹介事業
人材紹介や派遣事業を行うには、根拠となる法律名を明記した目的記載が行政庁から求められます。
不動産取引不動産の仲介宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業
不動産の売買、仲介、賃貸及び管理
宅地建物取引業の免許を取得するには、事業目的に「宅地建物取引業」と記載する必要があります。

許認可が必要な事業を計画している場合は、会社設立前に、許認可を管轄する行政庁のウェブサイトや窓口で、事業目的に記載すべき正確な文言を必ず確認するようにしてください。

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業種別 事業目的の書き方文例集

会社の事業目的は、定款認証や法人登記の際に必ず記載が必要な項目です。

ここでは、特に起業する方が多い人気の業種を中心に、事業目的の具体的な書き方を文例付きで解説します。

ご自身の事業内容に近いものを参考に、将来の事業展開も見据えてアレンジしてみてください。

IT・Webサービス関連事業の書き方

IT・Web業界は技術の進歩が速く、事業内容も多岐にわたります。

そのため、将来展開する可能性のある関連事業を幅広く記載しておくことが重要です。

例えば、Webサイト制作から始まり、Webマーケティングやコンサルティングに事業を拡大するケースは少なくありません。

最初から関連性の高い事業目的を盛り込んでおくことで、後の変更手続きの手間と費用を省けます。

目的の分類具体的な文例
開発・制作系・コンピュータソフトウェア及びハードウェアの企画、開発、設計、製造、販売及び保守
・Webサイト、Webコンテンツ、アプリケーション及びデジタルコンテンツの企画、制作、開発、運営及び管理
・情報通信システムに関する企画、開発、設計、販売、保守及びコンサルティング
Webサービス・マーケティング系・インターネットを利用した各種情報提供サービス及び情報収集サービス
・インターネット広告代理店業及び各種広告に関する企画、制作
・インターネットのホームページの企画、立案及び作成
・SEO(検索エンジン最適化)対策、MEO(マップエンジン最適化)対策に関するコンサルティング業務
その他関連事業・DX(デジタルトランスフォーメーション)に関するコンサルティング
・IT人材の育成、教育及び研修事業
・各種イベント、セミナーの企画、制作、開催及び運営

コンサルティング業の書き方

コンサルティング業は、「何の専門家」であるかを明確にすることが大切です。

「コンサルティング業務」だけでは事業内容が不明確と判断される可能性があるため、「経営」「人事」「マーケティング」など、具体的な分野を明記しましょう

また、コンサルティングに関連して発生するセミナー開催や執筆活動なども加えておくと、事業の幅が広がります。

目的の分類具体的な文例
主要なコンサルティング業務・経営コンサルティング業務
・企業の人事、労務、財務及び教育に関するコンサルティング業務
・マーケティングリサーチ並びに経営情報の調査、収集及び提供
・企業の合併、提携、営業譲渡に関するコンサルティング
関連事業・各種セミナー、研修会、講演会の企画、開催及び運営
・人材育成のための教育事業及びカウンセリング
・書籍、雑誌その他印刷物及び電子出版物の企画、制作及び販売
・市場調査、宣伝及び広告に関する業務

飲食店の書き方

飲食店を開業する場合、「飲食店業」または「飲食店の経営」という記載が基本です。

これに加えて、テイクアウト(弁当、惣菜の販売)やデリバリー、ケータリング、さらにはECサイトでの食品販売など、将来的に考えられる事業形態を網羅的に記載しておくことが賢明です。

なお、飲食店営業には保健所の許可が必須となります。

目的の分類具体的な文例
飲食店の経営・飲食店の経営
・喫茶店、カフェ及びレストランの経営
・バー、スナック、居酒屋等の経営
中食・物販関連・弁当、惣菜、パン、菓子の製造、加工及び販売
・食料品、清涼飲料水及び酒類の販売
・ケータリングサービス及び出張調理業務
・インターネットを利用した食料品等の通信販売
その他関連事業・料理教室の企画及び運営
・イベント、パーティー等の企画及び運営
・店舗プロデュース及びコンサルティング業務

小売業・ECサイトの書き方

小売業では、取り扱う商品のジャンルを記載します。

「雑貨の販売」のように広く記載することも可能ですが、「衣料品、服飾雑貨、アクセサリーの販売」のように具体的に書く方が事業内容が明確になります。

特にECサイト(ネットショップ)を運営する場合は、「インターネットを利用した通信販売業務」や「電子商取引サイトの企画、制作、運営」といった文言を必ず入れましょう

また、中古品を扱う場合は「古物営業法に基づく古物商」の記載と、警察署への許可申請が別途必要になるため注意が必要です。

目的の分類具体的な文例
店舗・ECでの販売・衣料品、服飾雑貨、アクセサリー等の企画、製造、販売及び輸出入
・日用品雑貨、化粧品、食料品の企画、販売及び輸出入
・インターネットを利用した通信販売業務
・EC(電子商取引)サイトの企画、制作、運営及び管理
許認可が必要な事業・古物営業法に基づく古物商
・酒類の販売業
・医薬品、医療機器等の販売
その他関連事業・商品の企画、開発及びコンサルティング
・各種商品の輸出入代行業務

不動産業の書き方

不動産業を営むには、宅地建物取引業の免許が必須です。

この免許を申請する際、事業目的に不動産業を行うことが明確に記載されている必要があります。

そのため、「宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業」という文言を正確に記載することが極めて重要です。

この記載がないと免許が取得できず、事業を開始できません。

登記官だけでなく、免許を交付する行政庁の審査も意識した記載を心がけましょう。

目的の分類具体的な文例
必須の事業目的・宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業
・不動産の売買、交換、賃貸借及びその仲介並びに管理
関連事業・不動産の有効活用に関するコンサルティング業務
・不動産に関する調査及び鑑定評価
・建物の内外装工事の設計、施工及び請負
・損害保険代理店業及び生命保険の募集に関する業務
その他(宿泊業など)・住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、住宅宿泊管理業及び住宅宿泊仲介業
・旅館業法に基づく旅館業

事業目的の数は何個が適切か

会社設立にあたり、「事業目的はいくつ書けば良いのだろう?」と悩む方は少なくありません。

将来の事業展開を考えてたくさん記載したい一方、多すぎると良くないという話も耳にします。

ここでは、事業目的の適切な数について、法的なルールと実務上の最適なバランスを解説します。

事業目的の数に上限はない

まず結論からお伝えすると、会社法上、定款に記載する事業目的の数に上限や下限はありません。

理論上は1つだけでも、あるいは100個以上記載しても法的に問題はなく、登記は受理されます。

そのため、「法律で〇個まで」といった制限を気にする必要はありません。

しかし、上限がないからといって、思いつく限りの事業を無計画に羅列するのは避けるべきです。

実務上、事業目的が多すぎることにはいくつかのデメリットが存在するためです。

多すぎる場合のデメリットと最適な個数

事業目的の数が多すぎると、かえって会社の信用を損ねたり、事業運営に支障をきたしたりする可能性があります。

主なデメリットを理解し、適切な個数を見極めましょう。

事業目的が多すぎる場合の主なデメリット

事業目的の数が多すぎると、対外的な信用や融資審査など、さまざまな場面でマイナスの影響が生じる可能性があります。

デメリットの種類具体的な影響
信用性の低下事業内容に一貫性がないと見なされ、「結局何をやっている会社なのか分からない」と取引先や金融機関に不信感を与える可能性があります。
専門性の欠如関連性の低い事業が多数並んでいると、どの事業も中途半端で専門性がないという印象を与えかねません。
特に専門知識が求められる業種ではマイナスに働きます。
融資審査への影響創業融資などを受ける際、事業計画書と定款の事業目的に著しい乖離があると、計画の実現性を疑われる一因となります。
メイン事業に集中していないと判断されるリスクがあります。
管理・コスト面登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を取得する際、事業目的の記載が多いと証明書が複数枚にわたり、手数料が余分にかかることがあります。

事業目的の最適な個数とは

では、事業目的は何個くらいが適切なのでしょうか。
事業内容や将来の展望によって一概には言えませんが、一般的には5個から10個程度に収めるのがスマートな選択とされています。

この個数を決める際は、以下の3つの視点で考えると良いでしょう。

  1. 現在すぐに行う事業:会社の主軸となるメイン事業。
  2. 近い将来(1~3年以内)に行う可能性が高い事業:事業計画に組み込まれている、具体的な展開が見えている事業。
  3. 上記に関連する事業:メイン事業から派生する可能性のある周辺事業。

将来性を見越して目的を追加することは重要ですが、あまりにも現実離れした事業や、本業と全く関連性のない事業まで含める必要はありません。
「何屋か」が明確に伝わり、かつ将来の柔軟性も確保できる、バランスの取れた数を目指しましょう。

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設立後に事業目的を変更・追加する方法

会社設立時に定めた事業目的も、ビジネスの成長や市場の変化に応じて見直す必要が出てくることがあります。

事業の多角化やピボット(方向転換)に伴い、新しい事業を始めたいと考えるのは自然なことです。

会社設立後であっても、事業目的は法的な手続きを踏むことで、いつでも変更・追加することが可能です。

ここでは、その具体的な手順と必要になる費用について詳しく解説します。

株主総会での定款変更決議

事業目的は、会社の憲法ともいえる「定款」に記載されている重要な項目です。

そのため、事業目的を変更・追加するには、まず定款そのものを変更する手続きが必須となります。

定款の変更は、会社の経営における特に重要な決定事項と位置づけられており、「株主総会の特別決議」によって承認される必要があります。

特別決議とは、通常の普通決議よりも可決要件が厳しく設定されています。

原則として、議決権を行使できる株主の過半数が出席した総会において、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得なければなりません。

一人社長の会社であれば、ご自身で決議し、議事録を作成することになります。

無事に特別決議で可決されたら、その証明として「株主総会議事録」を作成します。

この議事録は、次のステップである法務局への登記申請で必ず提出を求められる重要書類です。

法務局への変更登記申請と費用

株主総会で定款変更が決議されただけでは、まだ手続きは完了していません。

その変更内容を社会的に公示し、取引先などの第三者に対しても効力を持たせるために、管轄の法務局で「変更登記申請」を行う必要があります。

この登記手続きが完了して初めて、正式に事業目的が変更されたことになります。

変更登記の申請は、株主総会で定款変更の効力が発生した日から2週間以内に行う義務があるため、速やかに準備を進めましょう。

変更登記の主な必要書類

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 委任状(司法書士などに依頼する場合)

変更登記にかかる費用

事業目的の変更登記には、国に納める税金(登録免許税)と、手続きを専門家に依頼する場合の報酬が発生します。
費用の目安は以下の通りです。

費用の種類金額の目安備考
登録免許税30,000円法務局に納める税金です。
変更する目的の数に関わらず一律です。
司法書士への報酬30,000円~60,000円程度手続きを司法書士に依頼する場合の費用です。
事務所によって異なります。
その他実費数千円程度登記事項証明書(登記簿謄本)や印鑑証明書の取得費用などです。

自分で手続きを行えば登録免許税と実費のみで済みますが、書類作成には専門的な知識が必要です。

手続きに不安がある場合や、本業に集中したい場合は、司法書士などの専門家に依頼することを検討しましょう。

まとめ

本記事では、会社設立における事業目的の重要性と、適法な記載のための6つの基本ルールを解説しました。

事業目的は会社の信用度や融資審査にも影響するだけでなく、後から変更するには株主総会の決議や法務局への登記申請で手間と費用がかかります。

将来の事業展開も見据え、本記事で紹介した文例やNG例を参考に、適法性と明確性を備えた事業目的を慎重に検討しましょう。

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