会社員を続けながら自分の会社を設立して社長になることは、法律上完全に可能です。
本記事では、会社員が副業として社長業を両立するメリットや税金対策、社会保険の仕組みから法人設立の具体的な手順、勤務先にバレない対策まで徹底解説します。
結論として、役員報酬をゼロにするスキームや就業規則・競業避止義務への配慮など正しい知識を持てば、本業の安定収入を維持したまま起業リスクを最小限に抑えて会社経営が可能です。
副業起業で新たな収入と信用力を手に入れたい方はぜひ参考にしてください。
1. 会社員しながら社長になることは可能か
結論から申し上げますと、会社員として勤務しながら自身で会社を設立し、社長(代表取締役や代表社員)に就任することは法的に完全に可能です。
近年は国を挙げた働き方改革の推進に伴い、本業の会社に在籍しながら副業として法人を立ち上げるパラレルキャリアの形を選ぶ方が増えています。
ただし、「法律上可能であること」と「勤務先において認められているか」は別の問題です。
会社員が社長業を両立させるためには、法的な兼業ルールと勤務先の社内ルールの両面を正確に把握しておく必要があります。
1.1 法律上における会社員と社長の兼業ルール
日本国憲法第22条第1項において「職業選択の自由」が保障されているため、労働基準法や会社法などの法律において、会社員が他法人の役員に就任することを一律に禁止する規定は存在しません。
民間企業に勤める一般的な労働者であれば、個人の自由な意思に基づいて会社を設立し、代表者に就く権利が法律上認められています。
ただし、公務員と民間企業の会社員とでは法律上の扱いが大きく異なります。国家公務員法および地方公務員法では、職務への専念義務や信用失墜行為の防止などの観点から、営利企業の役員就任や兼業が原則として厳格に制限されているため注意が必要です。
| 区分 | 法律上の役員兼業の可否 | 根拠となる主な法令 |
|---|---|---|
| 民間企業の会社員 | 原則として自由(法律上の禁止規定なし) | 日本国憲法第22条(職業選択の自由) |
| 国家公務員 | 原則禁止(所轄庁の長の承認が必要) | 国家公務員法第103条・第104条 |
| 地方公務員 | 原則禁止(任命権者の許可が必要) | 地方公務員法第38条 |
1.2 勤務先の就業規則と副業禁止規定の確認ポイント
法律上は兼業が自由であっても、勤務先の就業規則において他社の役員就任や副業が制限・禁止されているケースがあるため事前の確認が必須です。
厚生労働省が策定したモデル就業規則では副業・兼業を原則容認する方向へ改定されていますが、実際の運用ルールは企業ごとに定められています。
就業規則を確認する際は、単に「副業が可能か」という点だけでなく、役員就任に関する細かい取り決めを精査することが重要です。
| 確認すべき項目 | 具体的な確認内容と留意点 |
|---|---|
| 役員就任に関する条項 | 個人事業主としての副業は認められていても、「他社の取締役・監査役等の役員就任」を明確に禁止または許可制としている場合があります。 |
| 事前の届出・申請手続き | 副業を行う際に、所定の申請書提出や会社からの事前承認が必要なフローになっているかを確認します。 |
| 懲戒処分の規定 | 会社の許可なく役員に就任したり副業を行ったりした場合に、就業規則違反としてけん責・減給・出勤停止・懲戒解雇などの処分対象になる条件を把握します。 |
就業規則に違反して独断で社長に就任した場合、社内での信用を失うだけでなく、懲戒処分の対象となるリスクがあります。
副業として法人設立を検討する際は、あらかじめ社内規程の文面を細かくチェックし、兼業が認められる範囲を正確に把握しておくことがトラブルを防ぐための第一歩となります。
2. 副業としての社長業に取り組むメリット

会社員という安定した立場を維持しながら会社を設立して社長になることには、単なる小遣い稼ぎの副業や個人事業主としての活動にはない多くの利点があります。
ここでは、税制面の恩恵から事業拡大のチャンス、精神的・経済的な安定まで、会社員が副業で社長業を行う具体的なメリットを解説します。
2.1 給与所得と事業所得の分散による税金対策と節税効果
副業を法人化して社長になる最大のメリットのひとつが、税制上の選択肢が大幅に広がる点です。
会社員の給与所得に加えて個人事業主として副収入を得る場合、所得が合算されて累進課税により所得税率が高くなる傾向があります。
しかし、法人を設立して事業利益を会社に残すことで、個人と法人の税率差を活かした税金対策が可能になります。
さらに、法人は個人事業主と比べて経費として認められる範囲が格段に広いのが特徴です。
例えば、自宅の一部を役員社宅として会社名義で契約することで家賃の多くを経費計上したり、出張旅費規程を作成して非課税の出張日当を支給したりするなど、法人の仕組みを活用することで合法的に手元に残る資金を最大化できます。
| 項目 | 個人事業主の副業 | 副業での法人経営(社長) |
|---|---|---|
| 適用される税率 | 所得税(累進課税で最大45%+住民税10%) | 法人税等(実効税率約21〜34%程度で比較的安定) |
| 自宅家賃の経費化 | 事業で使用している面積按分のみ | 役員社宅制度の活用で最大8〜9割程度を経費化可能 |
| 出張日当の支給 | 原則として経費算入不可 | 旅費規程の整備により非課税で受け取り可能(法人側は経費) |
| 赤字の繰越期間 | 青色申告で最長3年間 | 青色申告で最長10年間の繰越控除が可能 |
2.2 個人事業主以上の社会的信用力とビジネスの拡大
ビジネスの規模を拡大する上で、個人名義と法人名義では社会的な信用力に決定的な差が生まれます。
日本国内の大手企業や上場企業の中には、コンプライアンスやリスク管理の観点から「取引先は法人に限定し、個人事業主とは直接契約を結ばない」という内規を設けている企業が多数存在します。
株式会社や合同会社といった法人格を有していれば、新規営業や取引先開拓のハードルが大きく下がります。
また、法人名義の銀行口座の開設、ビジネスローンや日本政策金融公庫などからの融資、決済サービスの導入、求人募集による優秀な外部パートナーの確保など、事業成長に必要なあらゆるリソースへアクセスしやすくなる点も法人化の強みです。
2.3 会社員の安定収入を維持しながら起業リスクを低減
完全に独立して起業する場合、事業が軌道に乗るまでの生活費や固定費の支払いが大きな精神的・経済的プレッシャーとなります。
一方、会社員を続けながら社長を務める形態であれば、本業から毎月決まった給料を得ながらノーリスクに近い状態で新しいビジネスに挑戦できます。
生活基盤が本業で担保されているため、短期的な売上に追われて安売りをしたり、無理な案件を引き受けたりする必要がありません。
中長期的な視点でじっくりとサービスやプロダクトを磨き上げ、市場の反応を見ながら柔軟に事業モデルを修正できるため、結果として事業の成功確率を高めることができます。
3. 会社員が副業で社長業を行うデメリットや注意点

会社員として給与を得ながら自身の会社を経営するスタイルには多くのメリットがある反面、特有の法的手続きやリスクが存在します。
事前に注意点を把握しておかなければ、本業の勤務先との間で重大なトラブルに発展したり、想定外の金銭的・時間的負担を抱えたりする原因となります。
ここでは、副業で社長業を営む際に必ず押さえておくべき代表的なデメリットと注意点を詳しく解説します。
3.1 本業の会社に対する競業避止義務と利益相反の回避
会社員が法人を設立して事業を営む際、最も法的なトラブルに発展しやすいのが「競業避止義務違反」と「利益相反取引」です。
労働者は勤務先に対して誠実に業務を遂行する義務を負っており、競合する事業を独自に立ち上げる行為は契約違反や不法行為とみなされる可能性があります。
特に注意すべき点は、本業で培ったノウハウ、顧客リスト、機密情報を自社の事業に利用する行為です。
本業と同業種の事業を副業法人で展開すると、本業の売上を奪う形となり懲戒処分や損害賠償請求の対象になりかねません。
自社で展開する事業ドメインは本業の事業領域と明確に切り離し、取引先や仕入れ先も完全に独立したルートを確保することが不可欠です。
3.2 役員報酬の設定に伴う社会保険手続きと二重加入の負担
自身が設立した法人から「役員報酬」を受け取る場合、社会保険(健康保険および厚生年金保険)の取り扱いに大きな注意が必要です。
本業の会社で社会保険に加入している状態であっても、副業法人から役員報酬を支給すると、両方の事業所で社会保険の加入要件を満たすため「二重加入」の手続きが必要になります。
この場合、年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出しなければなりません。
社会保険料は両社の報酬額を合算して決定され、それぞれの報酬比率に応じて按分された額が各事業所で徴収されます。
| 項目 | 役員報酬を支給する場合 | 役員報酬をゼロ(無報酬)にする場合 |
|---|---|---|
| 社会保険の二重加入 | 必要(年金事務所への届出が必須) | 不要(本業の社会保険のみ継続) |
| 社会保険料の負担 | 法人の報酬に応じた保険料が追加発生 | 法人の社会保険料負担は発生しない |
| 本業への影響リスク | 按分手続きにより本業側に通知が届く可能性が高い | 社会保険経由で本業側に知られるリスクがない |
| 主な手続きと管理 | 二以上事業所勤務届の提出、給与計算、源泉徴収 | 法人税等の決算申告のみ(個人側の届出なし) |
上記のように、役員報酬を支給すると社会保険料の計算や手続きが極めて複雑化するだけでなく、本業の勤務先に社会保険手続きを通じて副業法人の存在が把握される決定的な要因となります。
実務上の負担やリスクを避けるため、事業が軌道に乗るまでは役員報酬を設定せず、法人の内部留保として資金を蓄積する運用が一般的です。
3.3 会社員としての本業と会社経営を両立する時間の確保
会社経営には、日々の実務だけでなく、法人の維持・運営に伴う多岐にわたるバックオフィス業務が伴います。
個人事業主と比較しても、法人の運営にはより厳格な事務処理が求められるため、時間的なリソースの確保が大きな課題となります。
具体的には、以下のような業務負担が発生します。
- 会計帳簿の記帳、領収書や請求書の管理・保管
- 法人名義の銀行口座管理や資金繰りの管理
- 毎期の法人税、消費税、地方税の確定申告および納税手続き
- 役員変更や本店移転などに伴う法務局への登記変更申請
平日の日中は本業に拘束されるため、これらの経営管理業務や顧客対応は夜間や休日にこなさなければなりません。
自己管理を徹底しないと過重労働による健康被害や本業のパフォーマンス低下を招く恐れがあります。
設立初期から税理士などの専門家へのアウトソーシングや、クラウド会計ソフト等のツール導入による業務効率化を設計しておくことが重要です。
4. 副業として会社を設立する具体的な手順

会社員を続けながら副業で会社を設立する場合、手続きの流れを正確に把握しておくことで、本業の業務に支障を出さずに最短で事業を開始できます。
法人設立には法的な手続きや各種書類の提出が必要となりますが、順を追って準備を進めれば個人でも問題なく設立可能です。
ここでは、副業社長として法人を立ち上げるための具体的なステップを解説します。
4.1 株式会社と合同会社の違いとおすすめの会社形態
日本国内で設立できる代表的な会社形態には「株式会社」と「合同会社(LLC)」があります。
副業としてスモールスタートを切る場合、設立にかかる初期費用や維持管理の手間を考慮して選ぶことが重要です。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社(LLC) |
|---|---|---|
| 設立費用(法定費用) | 約20万〜25万円 | 約6万〜10万円 |
| 定款認証の要否 | 公証役場での認証が必要 | 公証役場での認証は不要 |
| 役員の任期 | 最長10年(再任手続きと登記費用が必要) | 任期なし(重任登記の費用が不要) |
| 社会的認知度 | 非常に高い | 普及しているが株式会社よりは低い |
| 意思決定の方法 | 出資比率に応じた議決権(株主総会) | 出資比率に関わらず原則全員一致 |
取引先が一般消費者やWeb完結型のビジネスであり、初期費用を抑えて手軽にスタートしたい副業社長には合同会社がおすすめです。
一方で、将来的に外部からの資金調達を検討している場合や、BtoB取引で対外的な信用力を最優先したい場合は株式会社を選択するとよいでしょう。
4.2 資本金の決定と定款の作成および認証
会社形態を決めた後は、基本事項を決定して定款(会社の憲法にあたる根本規則)を作成します。
資本金は会社法上1円から設立可能ですが、極端に少額に設定すると法人口座の開設審査や許認可の取得で不利になるケースがあります。
運転資金や初期費用を考慮し、10万円から100万円程度を目安に設定するのが一般的です。
定款に記載する主な項目は以下の通りです。
- 商号(会社名)
- 事業目的(将来行う可能性のある事業も含めて記載)
- 本店の所在地(自宅、バーチャルオフィス、賃貸オフィスなど)
- 出資される財産の価額またはその最低額(資本金額)
- 発起人の氏名および住所
株式会社の場合は、作成した定款を公証役場へ持ち込み、公証人による定款認証を受ける必要があります。
その際、紙の定款ではなく電子定款を利用することで収入印紙代4万円を節約することが可能です。
合同会社の場合は公証役場での認証手続き自体が不要なため、電子定款を作成すれば印紙代をかけずに済みます。
4.3 法務局での法人登記申請と必要書類の準備
定款の作成(および認証)が完了したら、資本金を個人の銀行口座に払い込み、払込証明書を作成します。
その後、管轄の法務局へ法人設立の登記申請を行います。法務局へ書類を提出した日(オンライン申請の場合は受付日)が「会社の設立日」となります。
登記申請時に必要となる主な書類は以下の通りです。
- 設立登記申請書
- 登録免許税納付用台紙(収入印紙を貼付)
- 定款
- 発起人の決定書(本店所在場所決議書など)
- 就任承諾書(代表取締役または代表社員など)
- 印鑑証明書(発起人および役員)
- 資本金の払込があったことを証する書面(通帳のコピー等を綴じたもの)
- 印鑑届出書(会社の代表印を登録するための書類)
登記手続きには会社実印(代表者印)が必要となるため、登記申請を行う前までに法人用の印鑑セット(実印・銀行印・角印)を作成しておく必要があります。
申請から通常1〜2週間程度で登記が完了し、登記事項証明書(登記簿謄本)や印鑑証明書が取得できるようになります。
4.4 法人名義の銀行口座開設と税務署への開業届出
無事に登記が完了した後は、速やかに税務関連の届出と法人口座の開設手続きを進めます。
会社を設立した事実を行政機関へ通知するため、以下の書類を所定の期限内に提出します。
- 法人設立届出書:所轄の税務署、都道府県税事務所、市区町村役場へ提出(設立の日から2ヶ月以内)
- 青色申告の承認申請書:税務上の各種優遇措置を受けるために税務署へ提出(設立の日から3ヶ月以内または第1期の事業年度終了の日のいずれか早い前日まで)
- 給与支払事務所等の開設届出書:役員報酬や従業員給与を支払う場合に税務署へ提出(開設の日から1ヶ月以内)
事業の資金管理を個人資産と明確に分けるため、法人名義の銀行口座開設も必須となります。
近年はマネー・ローンダリング防止対策として法人審査が厳格化しています。
都市銀行や地方銀行だけでなく、審査スピードが早くオンラインで管理しやすいネット銀行も併せて申し込むことで、スムーズに事業用口座を確保できます。
事業内容が確認できるホームページや取引先との契約書などを準備しておくと、口座開設の審査が円滑に進みます。
5. 会社員しながら社長業を行う際に本業へバレないための対策

会社員が副業で会社を設立して社長に就任する場合、最も懸念されるのが勤務先に知られてしまうリスクです。
会社に副業が発覚する主な原因は、社会保険の手続き、住民税の金額変動、公的機関やWeb上での情報公開の3点に集約されます。
これらのリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることで、本業の会社に気付かれる可能性を最小限に抑えながら会社経営を続けることが可能です。
5.1 役員報酬をゼロにするスキームと無報酬の活用
会社員が副業で設立した会社から役員報酬を受け取ると、社会保険(健康保険および厚生年金保険)の二重加入義務が生じます。
複数の法人から給与や役員報酬を得る場合、年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出しなければなりません。
この手続きが行われると、それぞれの会社での報酬額に応じて社会保険料が按分計算され、本業の会社へ保険料の改定通知書が送付されるため、副業を行っている事実が確実に判明します。
この発覚ルートを完全に遮断するための最も有効な手段が、設立した会社における自身の役員報酬をゼロ(無報酬)に設定するスキームです。
役員報酬が支払われない場合、副業先の法人において社会保険の加入義務が発生しないため、本業の会社に通知が届くことはありません。
会社が得た利益は役員報酬として個人で受け取らず、法人の内部留保としてプールするか、事業拡大のための再投資や正当な法人経費として活用することで、安全にビジネスを運営できます。
5.2 住民税の徴収方法を普通徴収に切り替える手順
会社員は通常、毎月の給与から住民税が天引きされる「特別徴収」となっています。自治体は前年の総所得に基づいて住民税額を計算し、本業の会社へ税額を通知します。
もし副業で所得が発生して住民税額が増加すると、本業の給与水準に対して住民税額が不自然に高くなり、会社の経理担当者に副業を察知される原因となります。
この事態を防ぐには、確定申告を行う際に住民税の納付方法を適切に指定する必要があります。
確定申告書の第二表にある「住民税・事業税に関する事項」の欄で、住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れて選択することで、副業分の住民税納付書が自宅へ直接送付され、本業の給与天引き額に影響を与えずに済みます。
ただし、役員報酬を受け取っている場合は給与所得に分類されるため、多くの自治体で普通徴収への切り替えが認められず、主たる勤務先の給与と合算されて特別徴収通知が送られる運用が一般的です。
この点からも、前述の役員報酬をゼロにする対策が極めて重要となります。
| 発覚要因 | 発覚する主な仕組み | バレないための対策 |
|---|---|---|
| 社会保険手続き | 役員報酬発生に伴う「二以上事業所勤務届」の提出と本業会社への保険料改定通知 | 役員報酬をゼロ(無報酬)に設定し、社会保険の加入義務を発生させない |
| 住民税の変動 | 副業所得の合算により本業給与からの天引き住民税額が不自然に増加 | 確定申告時に普通徴収を選択する(役員報酬ゼロを前提とする) |
| 公的登記情報 | 法務局の商業登記簿に代表取締役として氏名・住所が記載され誰でも閲覧可能 | 信頼できる家族を代表者に立てて自身は株主になる、または露出を避ける |
| Web・SNS発信 | コーポレートサイト、特定商取引法に基づく表記、SNSでの顔写真や実名公開 | バーチャルオフィスを活用し、インターネット上での実名・顔出し公開を控える |
5.3 登記情報やインターネット上での代表者名の公開リスク
法人の設立手続きが完了すると、法務局の商業登記簿に会社情報が登録されます。
商業登記簿は一般公開されており、誰でも所定の手数料を支払えば登記事項証明書を取得したり、インターネット上の登記情報提供サービスで閲覧したりすることが可能です。
代表取締役に就任した場合、氏名だけでなく自宅の住所まで登記事項として公に記録されるため、同僚や会社関係者が意図的に検索した場合には隠し通すことができません。
また、自社のWebサイト、SNS、ECサイトにおける「特定商取引法に基づく表記」などに代表者名や所在地を掲載することで、社内の人間に偶然見つかるリスクもあります。
こうした露出による発覚を回避するためには、以下のような慎重な対策が求められます。
根本的な対策として、事業に協力的な配偶者や家族がいる場合は、その家族を代表取締役に就任させ、自身は代表権を持たない役員や出資者(株主・オーナー)に留まる形態が有効です。
株主名簿は商業登記簿に記載されないため、第三者が外部から所有者を特定することは極めて困難になります。
自身が代表を務める場合であっても、本社の登記先にはバーチャルオフィスやレンタルオフィスを活用して自宅住所の特定を防ぎ、Webサイトや広告媒体では実名や顔写真を出さずに運営を徹底することが安全策となります。
6. まとめ
会社員を続けながら社長業を行うことは法律上可能であり、給与による安定収入を維持しながら起業リスクを抑え、高い信用力や節税効果を得られる点が大きなメリットです。
一方で、勤務先の就業規則の確認や競業避止義務の遵守は必須となります。
本業に知られずに運営したい場合は、役員報酬をゼロにして社会保険の二重加入を防ぐといった対策を講じることが重要です。
株式会社や合同会社の設立手順を正しく理解し、無理のない計画で本業と社長業の両立を実現させましょう。

